八洲学園大学　公開講座

わが国の資源力は「人間力」といわれるように、人的資源が最重要です。そのためには「自分はどんな生き方をするか」「世の変化にどのように対応すれば良いか」そうした「人の生きる道」を学んで、はじめて「社会での学習支援」も可能になる。文学は決して実用的ではない、むしろ害があるかも知れない。人間とはそういうものだ。混沌とした思惟の中から自分を知り、新らたな自分を見出し、様々に生きた人間の姿から「人間力」は生まれる。黙っていては「自分の思いや意志」は伝わりません。洪水のようにあふれている文学作品から、これなら自分を表現できる、という方法を考えてゆきましょう。

文学は今や経済大国、無思惟な生き方、などが蔓延する現代社会に、ひとつの風穴を開け、日本のすすむべき道を見出せる価値を持っている。文学の有用性や社会的評価は白眼視されているが、もう一度人の諸相を見てみよう。人間が生きてさまざまなことを行う。そこには必ず時代や世の潮流というものが見出せます。この潮流を見ることによって自分の確たる生き方も見えてくるはずです。そうした作品を紹介しながら「人間の真相、人間の深層にある渾沌たる欲望」も見えてきます。こうした人の心の深いところに存する「不可解な人間心理」を読み解きながら「人間の観察」を深めるように一緒にかんがえてゆきましょう。

どなたでも
※この講座は八洲学園大学開放授業として、本学正規科目「人生の諸相と文学 」を学生とともに受講します。
(入門的な内容で、高校卒業程度の学力が必要)

	日程	時間	内容
1	2015年 10月08日	14:40-16:10	異端文学とはなにか。はたして世の中に正統と異端があるのか。また「勝ち組みと負け組み」とは何か。
2	2015年 10月15日	14:40-16:10	1960年代・1970年代は、日本の経済は右肩あがりに成長した。その時に文学の異変が起きた。
3	2015年 10月22日	14:40-16:10	その後、日本の文学は「ミステリー・推理小説」が出現した。そして純文学は全く顧みられなくなった。
4	2015年 11月05日	14:40-16:10	1980年代・1990年代から日本人は「拝金主義」と言われ、公衆道徳は地に堕ちた。「恥の文化」はどうしたのか。
5	2015年 11月12日	14:40-16:10	1990年代から「ばらばら殺人事件」が急増した。それに従って「肉体の時代」といわれる性描写文学が流行した。
6	2015年 11月19日	14:40-16:10	やがて「文明と野蛮」という比較が生まれ、人間が人間性を喪失する「人外魔境」のおどろおどろ文学となった。
7	2015年 11月26日	14:40-16:10	エロ、グロ文学が流行し、「人獣相姦」という倒錯する人間像を描く文学が出現した。
8	2015年 12月03日	14:40-16:10	日本の家庭は「家父長」としての戸主の権威で一家が成り立っていたが、この制度が崩壊した後、どんな文学となったのか。
9	2015年 12月03日	14:40-16:10	自然主義文学と私小説との相違は何であったか。また、ゾラという作家の「居酒屋」について考える。
10	2015年 12月10日	14:40-16:10	日本の近代文学は西洋の文学の模倣から始まった。明治の人々は外国文学をどのように受容したか。
11	2015年 12月17日	14:40-16:10	この世に対して抱く不安と「存在すること自体が不安」という観念は、どのような違いがあるのかを考える。
12	2016年 01月07日	14:40-16:10	カフカという作家が持っていた先見性と予言とは何を意味していたのかを考える。
13	2016年 01月14日	14:40-16:10	「罪と罰」とは人間のどんな心理を述べているのか。また「原罪」とは何を意味するのだろうか。
14	2016年 01月21日	14:40-16:10	この世で最も純粋無垢な心の持ち主とはどのような人を指すのか。ドフトエフスキーは「白痴」の人と言っている。
15	2016年 01月28日	14:40-16:10	芥川龍之介、中島敦、カフカ、ドフトエフスキーの四人の作家は何故に同時代に同じ人生のテーマを考えたのか。