「“リアル・ホモ・エコノミクス”の養成めざす」
八洲学園大学生涯学習学部 生涯学習学科 専任講師 塙 武郎
経済学の父アダム・スミスは「自己の利益を最大限に追求するように合理的に行動する人間」を理想と考えて、その人間像を“homo economicus”(ホモ・エコノミクス)と名付けましました。これはもっぱら経済的合理性に基づいて行動する個人主義的な人間を想定していたので、経済学の純粋な理論研究には大いに役立ちました。しかし実際の経済社会の場ではそうした理想の経済理論はあまり通用せず、よってホモ・エコノミクスの存在も「絵にかいた餅」になっていた感を否めませんでした。
理論を踏まえつつ、もっと実社会・実生活に役立つ経済学というものを教えてみたい。もっと企業や個人の経済行動を複眼的に見ることのできる人材を養成したい。幸いそうした考えは、平成20年度より、社会人学生を対象とした八洲学園大学で、実務スキルアップを主眼とする実践型カリキュラムや認証メニューなどの強化という形で実施することができました。
例えば、キャリアアップ志向をもつ20代ないし40代の社会人学生を主対象に、企業マネジメントの汎用的な知識やノウハウを修得する「企業とマネジメントの基礎スキル」や、会計専門職である税理士などを目指すための「税財務・フィナンシャルプランナー基礎スキル」等を中心とする各種科目修得認証メニューを開設し、学生さんに提供しております。
私の担当講義の一例になりますが、ゼミ形式で講義を進める「経済学概論」「地方財政・自治体論」「都市経営・公共政策論」では経営コンサルティング会社に勤務する方や、税理士を目指している方々が全国からライブ受講されております。講義の後半は、ビジネススクール同様、受講生にプレゼンテーションやディベートをお願いしていますが、これは大変好評です。
理論を、実践に活かす。
実践を通して、経済を知る。
アダム・スミス以来の経済理論に埋もれてしまったホモ・エコノミクスの枠を超えて、実践に通用する経済知識をそなえた社会人学生、いわば「リアル・ホモ・エコノミクス」の養成を目指したいと考えています。 |