「横のつながり」
やしま学園高等専修学校校長 谷口 充
「横(ヨコ)の成長!?」
特別支援教育に変わって4年目となり、特別な教育ニーズのある人への支援も更に深まりつつあるようです。また後期中等教育においても理解と支援が広がり、進学への選択肢も増えています。
本校はその中で1997年以来一貫して今日でいう支援教育を実践し、2003年には教育年限の延長として高等課程に続く専攻科を設置してきました。「ゆっくり、ゆったり学びたい」「仲間と一緒に遊びたい」というニーズは障がいがあるが故の正直な彼等の気持ちだと思います。
私たち大人は成長(発達)といえばすぐに縦(タテ)の成長にばかり目がいきます。「あれが出来た、これが出来ない」と一喜一憂します。本校はその縦(タテ)の成長も大事とは思いますが、それよりも横(ヨコ)の成長に重きをおきます。早い話が本人と友だち等、周囲の人との関係を作れることの方が社会に出たとき必要な力と思います。“競争と利益”の市場経済の中で生き抜くことは私たち大人でも厳しいことです。
だから学校でも厳しく競争をするのではなく、優しい仲間の中で共感できる自己肯定感を育てることが大事です。仲間集団の中で「育ち合い、学び合う」ことにより横(ヨコ)の関係(つながり)ができ、やがて信頼と友情が生まれてきます。この経験こそが社会にでるときに必要な力ではないでしょうか。
本校での教育はゆっくり、ゆったり、横の関係を広げることが主眼です。働くことが主眼ではありません。仲間とともに楽しめる豊かな青年期こそが本校での教育の目的です。
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