「柔道整復師の今後の展望」
西日本柔道整復専門学校 副校長 多田 浩之
平成11年頃から柔道整復師養成施設開校の規制緩和が始まり養成施設が全国規模で増加したのは、前回のコラムで紹介させていただきました。
さて今回は、柔道整復師の国家資格取得後の近況について紹介させていただきます。
現在、柔道整復師資格取得者の就職率は、100%です。近年の不況にもかかわらず100%?
間違いではありません。現に本校在校生の90%以上が整骨院(接骨院)で研修およびアルバイトをして勉学に励んでいます。軒並み増加する整骨院(接骨院)は、厚生労働省の調べでは、平成24年には全国で47,000軒になると推移しています。
平成10年には、23,114軒だったのが10年あまりの間に倍増となります。要因は、もちろん柔道整復師養成施設の増加に伴う国家資格者の急増です。その内国家資格を活かし就業している人数は、平成10年に29,087名だったのが平成20年には43,946名(別表1)とこちらもほぼ倍増です。毎年約5,000人の増加が予測されています。何故急増しているのか?第1に、療養費として国からの補助がおりる為、職業として収入の安定・増加が見込める。第2に、個人での開業が容易である。第3に、医療としての職業の為、患者さんが安心して来院できる。などが大きな理由と考えられます。整骨院(接骨院)を開業している先生方は、平成10年までを振り返って「当時は良かった(収入)今は、整骨院(接骨院)が乱立して駄目だ。」と嘆いていますが、現在においても上記の第1~第3の理由は、かわりません。私から言わせれば平成10年以前当時は、泡(バブル)まみれの温泉に使っている状態で、どんな人でも開業すれば有る程度の収入を得られたのであり、現在が駄目なわけでは全く無いと考えます。泡(バブル)が無くても温泉で充分。現況こそが資本主義社会の状態であり、優秀な治療行為、高齢者を大切にする優しさ、患者さんに喜ばれるサー
ビスを提供する整骨院(接骨院)が生き残る普通の状態だと考えます。柔道整復師の療養費の割合は、平成20年度データで国家予算の医療費34兆8,084億円の約1%にあたる3,484億円です。整骨院(接骨院)1院あたりの平均収入は、単純に考えると3,484億円÷47,000軒=約750万円です。もちろん今後も開院数は増加しますが、サービスの提供のない整骨院(接骨院)は、廃業になるのです。銀行や大企業が倒産する近年の不況に負けず柔道整復師の資質の向上を目指し生き残っていくよう本校の卒業生には、期待したいものです。
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平成10年
(1998) |
平成12年
(2000) |
平成14年
(2002) |
平成16年
(2004) |
平成18年
(2006) |
平成20年
(2008) |
あマ指師 |
94,655 |
96,788 |
97,313 |
98,148 |
101,039 |
101,913 |
はり師 |
69,236 |
71,551 |
73,967 |
76,643 |
81,361 |
86,208 |
灸師 |
67,746 |
70,146 |
72,307 |
75,100 |
79,932 |
84,629 |
柔道整復師 |
29,087 |
30,830 |
32,483 |
35,077 |
38,693 |
43,946 |
※就業国家資格者の年次推移(別表1)※あマ指師=あんまマッサージ指圧師
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