ガイドライン
平成28年9月(平成30年3月1部改定)に「広域通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議」から「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」示されています。そのガイドラインで、通信制高校で根幹となる添削指導、面接指導、面接指導の代替となる多様なメディアを利用して行う学習、試験、総合的な学習について、次のように示しています。
添削指導(レポート)
- 添削指導は高等学校通信教育における教育の基幹的な部分であり、実施校は添削指導を通じて生徒の学習の状況を把握し、生徒の思考の方向性とつまずきを的確に捉えて指導すること
- 添削指導及びその評価は、各教科の教員免許状を取得している実施校の教員が行うこと
- 指導要領において定める添削指導の回数の標準を踏まえて、各教科・科目における添削指導の回数を十分確保すること
- マークシート形式のように機械的に採点ができるような添削課題や、択一式の問題のみで構成される添削課題は不適切であること
- 添削指導の実施に当たっては、年度末や試験前にまとめて添削課題を提出させたり、学期当初に全回数分の添削課題をまとめて提出することを可能としたりするような運用は行わないこと。また、添削指導や面接指導が完了する前に、当該学期の全ての学習内容を対象とした学期末の試験を実施したりするようなことがないよう、年間指導計画に基づき、計画的に実施すること
- 添削指導の実施に当たっては、正誤のみの指摘はもちろん、解答に対する正答のみの記載や一律の解説の記載だけでは不十分、不適切であり、各生徒の誤答の内容等を踏まえた解説を記載するなど、生徒一人一人の学習の状況に応じた解説や自学自習を進めていく上でのアドバイス等を記載すること
- 生徒から添削指導等についての質問を受け付け、速やかに回答する仕組みを整えること
面接指導(スクーリング)
- 面接指導は、添削指導と同様、高等学校通信教育における基幹的な部分であり、各学校はその重要性に鑑み、絶えず改善に努めること
- 面接指導及びその評価は、各教科の教員免許状を取得している実施校の教員が行うこと
- 指導要領において定める面接指導の単位時間数の標準を踏まえて、各教科・科目における面接指導の単位時間数を十分確保すること。面接指導の授業の1単位時間を弾力的に運用する場合でも、1単位時間を50分として計算された単位数に見合う面接指導の単位時間数を十分確保すること
- 面接指導においては、個別指導を重視して一人一人の生徒の実態を十分把握し、年間指導計画に基づき、自宅学習を行う上で必要な基礎的・基本的な知識について指導したり、個々の生徒のもつ学習上の課題について十分考慮しその後の自宅学習への示唆を与えたりするなど、計画的、体系的に指導すること
- 実施校以外の連携施設において面接指導を実施する場合、実施校において生徒の履修状況を十分に把握するとともに、例えば、観察・実験や実習が適切に実施できるよう、施設・設備等も含め、面接指導を行う上で適切な教育環境を整えること
- 実施校や連携施設において実施されている、いわゆる通学コースにおける教育活動と、指導要領等に基づき実施される面接指導とは明確に区別されるものであり、面接指導は上記の事項も踏まえ、指導要領等の法令等に基づき実施すること
多様なメディアを利用して行う学習
- ラジオ放送、テレビ放送その他多様なメディアを利用した学習を取り入れた指導及びその評価は、各教科の教員免許状を取得している実施校の教員が行うこと
- 多様なメディアを利用して行う学習は、計画的、継続的に取り入れるべきものであり、高等学校教育の目標に基づき、高等学校教育としての水準の確保に十分配慮すること
- 多様なメディアを利用して行う学習を計画的、継続的に取り入れ、各教科・科目の面接指導の時間数又は特別活動の時間数(以下「面接指導等時間数という。」)の一部免除を行うことができるのは、報告課題の作成等により、その成果が満足できると認められる場合であること
- ①から③までの場合において、面接指導等時間数のうち、10分の6以内の時間数を免除することができること。また、生徒の実態等を考慮して特に必要がある場合は、面接指導等時間数のうち、複数のメディアを利用することにより、メディアごとにそれぞれ10分の6以内の時間数を免除することができること。ただし、免除する時間数は合わせて10分の8を超えることができないこと。生徒の実態等を考慮して特に必要がある場合とは、例えば、「病気や事故のため、入院又は自宅療養を必要とする場合」、「いじめ、人間関係など心因的な事情により登校が困難である場合」、「仕事に従事していたり、海外での生活時間が長かったりして、時間の調整がつかない場合」や、「実施校自らが生徒の実態等を踏まえ、複数のメディア教材を作成する等により教育効果が確保される場合」等が想定されること
- 生徒の面接指導等時間数を免除しようとする場合には、本来行われるべき学習の量と質を低下させることがないよう十分配慮しなければならないこと
- 生徒の面接指導等時間数を免除する場合、多様なメディアを利用して生徒が行った学習の時間数と、同程度又はそれ以上の時間数を免除するという運用は不適切であること
試験
- 試験は実施校の教職員の監督下で適切に実施し、その採点基準の作成及び評価は各教科の教員免許状を取得している実施校の教員が行うこと
- 試験は、通信制の課程で行う教育の一部であり、添削指導や面接指導における学習成果の評価とあいまって、単位を認定するために個々の生徒の学習内容の定着状況等を測るための手段であることを踏まえ、自宅試験の方法で行ったり、全ての教科・科目等において自由な成果物の提出により試験の替わりとしたり、試験問題が毎年同じであったりするなどの不適切な試験が実施されることがないよう、留意すること。なお、コンピュータやタブレット端末等を用いてオンラインでの試験等を実施する場合であっても、確実な本人確認や不正行為防止の仕組みを構築するなど、実施校の適切な監督下で実施すること
総合的な学習の時間
- 学校設定教科・科目の開設、実施に当たっては、年間指導計画に基づき、資格のある教員が指導要領等に則り適切に実施すること。特に、単なる体験活動の実施を単位認定するような運用や、生徒の学習状況の把握及び評価が十分に行われないまま実施されるような運用は不適切であり、高等学校教育の目標及びその教育水準の確保等に十分配慮すること。また、学校設定教科・科目の添削指導の回数及び面接指導の単位時間数については、1 単位につき、それぞれ 1 回以上及び 1 単位時間以上を確保した上で、各学校において適切に定めること
- 総合的な学習の時間の添削指導の回数については、指導要領の規定を踏まえ、1単位につき1回以上を確保した上で、各学校において、学習活動に応じ適切に定めること
- 総合的な学習の時間における面接指導の単位時間数については、指導要領の規定を踏まえ、観察・実験・実習、発表や討論などを積極的に取り入れるためには、面接指導が重要となることを踏まえ、1単位につき1単位時間以上を確保した上で、各学校において、学習活動に応じ適切に定めること