通信制高校の基本
高等学校は「全日制」「定時制」「通信制」の3つに分けることができます。全日制が通常の時間に教育を行うのに対し、定時制は夜間や午後だけなど、特別な時間に教育を行います。一方、通信制は、添削指導、面接指導及び試験によって教育を行います。
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通信制高校の勉強方法
添削指導とは、いわゆる宿題のようなもので、自宅で教科書や参考書を見ながら解答し、学校へ提出すると、採点結果に解説も書き込まれて返送されます。この添削指導が通信制の教育の大部分を占めます。スクーリング(面接指導)とは、全日制や定時制の授業と同じ形態ですが、時間数は全日制や定時制よりかなり少なく、添削指導だけでは不十分なところを補うという位置づけです。試験はは、文字とおり試験で、これに合格しないと卒業できないことになります。
スクーリング
いまの法律では、ネットだけで通信制高校を卒業することは認められていません。つまり、対面によるスクーリングは必須となります。このスクーリングを実施できる場所も、各都道府県で認められた場所(本校・分校・協力校・技能連携施設)だけです。 学習センターやキャンパスではスクーリングが受講できない場合がありますので、必ずスクーリングの受講場所を確認しましょう。そのスクーリング会場が都道府県から認められた場所でない場合は、最悪、卒業できないということになりますので、入学前に必ず確認するようにしましょう。できれば学則で確認するようにしてください。
通信制高校・生徒の数
学校基本調査という文部科学省が毎年実施している調査によると、平成29年5月1日現在、通信制のみを設置している高校は107校、全日制の高校で通信制の課程を設置している高校は143校で、合計、250校での通信制高校があります。前年より6校増えています。そこで、学んでいる高校生は、全部で182,515人(男子 96,403人,女子 86,112人)です。全日制、定時制の高校生が3,309,342人ですから、18人に1人が通信制高校の生徒ということになります。
狭域と広域
通信制高校には狭域と広域というのがあります。狭域とは入学できる生徒の住所が通信制高校がある都道府県とその隣の1つの都道府県に限られている通信制高校です。一方、広域とは、3つ以上の都道府県から入学できる通信制高校を言います。多くの都道府県から入学できるようにするためには、生徒がスクーリングを受講するための場所を確保する必要があります。スクーリングの受講にふさわしい場所としては、分校・協力校・技能連携施設が公式に認められています。分校とは、通信制高校と同等の施設としてその通信制高校を認可している都道府県が認めた施設です。協力校とは、他の高校をスクーリングの場所として提供してもらう場合を言います。技能連携施設とは、各都道府県の教育委員会が通信制高校の教育にふさわしいと認めた施設です。
通信制高校に関係する用語
この学則は学校が勝手に変更できず、変更するためには、監督官庁である都道府県知事の認可が必要になります。
なお、学則に記載すべき項目の主なものは以下の通りです。
修業年限、学科、カリキュラム、定員、入学、退学、転学、休学、卒業、学費
通信制は、以下も必須
通信教育を行う区域(入学可能な都道府県)、協力校
学年制に対して、高校卒業に必要な単位数である74単位を3年間で修得すると卒業を認定することを単位制と言います。
実際には、本校のある都道府県に隣接する1つまたは2つの都道府県まで認めている場合も多いようです。
狭域に対して、他の都道府県からも入学できる通信制高校を広域の通信制高校といいます。
これは、他の高等学校の校舎を土日や夏休みなど空いている時期に借りて行うことを言います。
この協力校を設ける場合、学則にその旨を記載し、都道府県知事の認可を受ける必要があります。
協力校は、高校の教室を借りることから、教育環境としては高等学校にふさわしいのは間違いありませんが、普段は別の高校生が使っている教室を間借りしていることから、通信制の高校生にとっては母校ではなく、自分用の机やロッカーがなく、担任の先生も常駐していないことから、最近では、あまり使われない制度となっています。
全国に協力校を置いている通信制高校としてはNHK学園高校があります。
もともとは、工場などで働きながら通信制高校で高卒を目指している方に、工場での職業体験が高校での教育に相当するという趣旨から生まれた制度です。ですので、単位として認定されるのは、職業に関係する工業、商業などの科目で国語や数学などの普通科目は対象となりません。
そのため、普通科目は、レポートの添削を自宅で行い、スクーリングとテストは通信制高校で受ける必要があります。
広域だからと言って47都道府県すべてから入学できるとは限りません。
47都道府県すべてから入学できる通信制高校は少なく、NHK学園高校、八洲学園大学国際高校、屋久島おおぞら高校など数校のみのようです。 これに対して、本校のある都道府県内に在住の方しか入学できない場合は、狭域の通信制高校といいます。
ただし、面接指導のすべてをこれに代えることはできず、一定の時間は、必ず面接指導を受けることが必要となります。
これは、高校生という10代の若者には、人格形成のために、教員による直接指導が不可欠と考えられるからです。
これを元の各都道府県が独自に基準を設けています。この「高等学校通信教育規程」によると、通信制の課程のみを置く高等学校(独立校)の校舎の面積は1200平米以上で、教室、図書室、保健室、職員室が必須となっています。
運動場は必須ではありません。また、教員は、5名以上となっています。
時間割で週に2時間分あれば、2単位ということなります。高校卒業には最低74単位が必要となります。
1年にすると25単位弱ですので、時間割にすれば1日5時間を週5日で足りることになります
単位制に対して学年制とは、1年毎に進級の判定をすることを言います。
この添削指導が通信制の教育の大部分を占めます。
面接指導(スクーリング)が必須となるため、スクーリングを受けることが校舎へ通学可能な範囲の人しか入学できません。
その入学可能な都道府県は学則に記載し、各都道府県知事の認可を受ける必要があります。通常は、本校のある都道府県と、その近隣の都道府県が入学可能エリアになりますが、NHKの学園のように全国に協力校を置いて、全国から入学できるようにしている高校や、八洲学園大学国際高等学校のように敷地内に宿舎を設けて、合宿形式のスクーリングを実施することで全国から入学できるようにしている学校もあります。
必修得科目とは、その科目の試験に合格し、単位を修得することが卒業要件となっている科目を言います。
必履修科目とは、試験には不合格ながら、必要な出席時間数は出席した場合を言います。文部科学省が定めている学習指導要領では、必履修科目の指定のみで、必修得は求めていないのですが、ほとんどの高校が、実質的に必修得を求めています。
履修はしても単位を修得できなければ、卒業に必要な単位が不足し、卒業できないことになるための措置です。しかし、苦手科目でどうしても試験に合格できずに修得できない場合に、履修のみを認めることで、卒業ができることもあります。