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藤森純一の研究室便り

著作権法を学ぶヒント

2015/01/06

2015年の講義もスタートしましたね。
法律系のスタートは、「生活の中の法」からでした。


さて、現在進行中のスクーリング科目だけではなく、終了した科目についてもお話ししようと思います。大学で学んで、そこで終了というのは、もったいないわけでして。


今回は、「著作権法」についてです。
春学期のテキスト履修科目です(次年度も開講する予定です)。


本科目のテキストは、実務色が非常に強いテキストを指定しました。

あと、その前に・・・著作権相談員として文化庁の名簿に登録されています
余談ですが、知的財産権(特許権とか商標権など)は、弁理士が専門家として活躍するフィールドなのですが、知的財産権の中で、著作権は、行政書士なんですね(所轄官庁の違いによります)。


法律のマスターの仕方としては、実務から基本を知る方法と、基本から実務を考える方法の2通りがあります(前者はケーススタディ、後者は昔ながらの手法でしょうか。)

今年度の著作権法では前者のケーススタディーで学んでいただきました。
著作権にからむ契約書から、著作権実務の深さを体感していただいたかと思いますが、
かなり難しかったかもしれませんね・・・・。


さてさて・・・
著作権を学ぶために大切なことは、著作権の保護いう視点と、著作物の活用という視点です。
これが第1条に掲げられています。


著作権法1条
「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」

条文は読みにくい場合、分解してしまいましょう。

・「著作物並びに実演...これに隣接する権利を定め」
・「文化的所産の公正な利用に留意しつつ」
・「著作者等の権利の保護を図り」
・「文化の発展に寄与する」

この4点に分解できますね。

この4点を意識して、各条文が作られています。そして、実務では、この著作権法の哲学を背景に各条項が、著作権法を踏まえて作成されるということになります。


個別の条文を覚えるではなく、背景にある考え方・哲学から学ぶことが理解していくためのヒントです。

今一度、テキストを開いて、一つの契約条項を読み解いてみてください。文化の発展に寄与する(著作物の利用)という点と著作者の権利をまもるという視点の双方があるかどうかを読み解くことです。
そして、今回、末尾に挙げた参考図書を使い、基本的な考え方をマスターしていくということに挑戦してみてください。

書協2010年版ひな型の第3条を例にすると・・・

第3条(二次的利用)
「本契約の有効期間中に、本著作物が翻訳・ダイジェスト等、演劇・映画・放送・録音・録画等、その他二次的に利用される場合、甲はその利用に関する処理を乙に委任し、乙は具体的条件について甲と協議のうえ決定する」

まず、翻訳や映画化というのは文化的発展の寄与につながるものとして、著作物の利用をしていきたい。
一方で、二次的利用は原著作物とは異なる新しい著作物となります。
ここで二次的利用がはっきりしないといけせん。したがって、著作権法でいう「二次的著作物」の規定の意義を学ぶ必要が出てきます。さらに、広がりを見せて二次的著作物についての論点が参考図書などを通じて学んでいけます。

二次的著作物の意義が見えたところで、著作権者の権利保護という視点でも眺めてみる。そうすると、二次的著作物の意義から権利保護と利用のバランスをどうするのか?ということが出てきます。

そして、ひな形の条項に戻ると、その点は、「協議による」として、利用と権利のバランスについては、その都度話し合いましょうということで、折り合いをつけておくということがうかがえます。

当たり前のような感じがしますが、分解しながらイメージしてバランス感覚で条項を読み解くということができるといいでしょう(前回のブログ記事も加味すると、著作権に関わる仕事での自分の立ち位置を解析することもできるかと思います。指定テキストには、立ち位置についても記載しているので、読んでみてください。)。

「文化の発展に寄与するんだからさ!」だけではだめ、「きちんと著作者の権利を守る」ということも視野に入れなければいけない。バランス感覚を持ちながら、著作権のフィールドを楽しんでみてください。

※スクーリング受講生のみなさんから、参考図書をもっと紹介してほしいという声をいただいたので、今回は著作権法に関する2冊を。

【参考図書のご紹介】
『著作権法 第2版』(有斐閣・中山信弘)
少しお高い書籍ですが、法務担当者や法律家の中では定評のある著書です。

『著作権法入門〈2014-2015〉』(文化庁編)
こちらのほうが、入りやすく読みやすいかと思いますが、毎年改訂されています。

【八洲学園大学 公開講座】
司書のための法律入門~リーガルリサーチの方法
http://www.yashima.ac.jp/univ/extension/course/2015/01/post-346.html

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