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藤森純一の研究室便り

契約「書」とコンプライアンスの関係性

2015/11/29

今週から、「ビジネス文書作成・読解」の講義が始まりました。


ビジネスに登場する文書を紐解く能力を身に付けることで、コンプライアンス、CSR、リスクマネジメントの実践へと結び付けていきます。
ビジネスにおける文書の役割がわかれば、ビジネスの仕組みが分かります。ビジネスの仕組みがわかれば、未来が分かるものです。


今回のブログは、第1回から第4回の講義のダイジェストとなります。


1 ビジネスと文書
ビジネスというと金儲けのイメージが先行してしまいますが、営利・非営利、組織体制を問わず、事業目的を達成に向けた活動です。
事業目的を達成するためには、他者との協力や取引が必ず出てきます。他社との関わり合い、つながりで事業目的に向かっていくことになります。この他者とのつながりが、「契約」ということになります。


「契約」とは、意思表示の合致により、権利や義務を発生させます。この権利や義務といったことが、他者との「つながり方」や「関係性」となります。


ここで、つながりを持つには「意思」だけでいい。言い換えると、文書は必要ないということです(法律上の例外はあります。)


しかし、文書が必要だとなるのはなぜでしょうか?


2 文書の必要性
意思というのは、ズレが出てしまう場合がある。例えば、自分は〇〇〇と思っていたら、相手は×××と思っていたという具合です。
このズレを解消するためには、「ビジネスモデルを共通認識」する必要があります。このビジネスモデルの共通認識をするために、文書化し当事者の意思内容を明確にし、確認していくということが可能となります。


また、文書化することで、口頭よりも慎重な対応が可能となり、ビジネスモデルの検証がより充実し、リスクの予測や新たな課題の発見につながってきます。


3 社外・社会との関係を考える
ビジネスモデルを共通認識する前提として、コンプライアンスやCSRということが出てきます。ビジネスモデルそのものが法令に違反する、グレーゾーンのものとなれば、そのモデルはコンプライアンス違反となってしまいます。


また、コンプライアンスが単にルールを守るということだけでななく、社会的要請に応えていくことであるととらえれば(このようにとらえる理由については、コンプライアンス概論の講義にて)、これはCSRということになります。


つまり、ビジネスモデルはコンプライアンス・CSRとの関係性があり、そして契約文書はそのビジネスモデルの具体化として他社とのつながり、社会とのつながりを示すものとなります。


このように考えると、法の抜け道を探しながら、ギリギリラインで契約をしていくことは、いつの間にか違法のラインを越えてしまうかもしれません。また、企業の社会的価値の低下へとつながりかねません。


多くの企業が、企業理念を掲げていますが、契約文書にまでその理念を落とし込めているでしょうか?企業理念からビジネスモデルが生まれ、取引が生まれる。この取引が始まる際に、法令に違反しなければ良いというスタンスであれば、どんな企業理念を掲げていても、社会的要請に応えておらず、ビジネスにおいてのフェアプレーを行っているとはいえません。


利益を追求することは不可欠ですが、社会とのつながりにおいてビジネスが成り立っているということを考えると、コンプライアンスやCSRといった観点が契約文書にまで落とし込まれているか?ということまで考えなければいけないでしょう。


経営理念を掲げていても、具体的な取り引きの場面、そしてその文書による共通認識という場面にまで、理念を落とし込みきれているか?落とし込めていなければ、コンプライアンス違反ということまで懸念しているか?ということになります。


※大学での授業の他、実務では下記のHPに記載されているように、コンサルティングから文書作成までをしています。
http://www.navida.ne.jp/snavi/100081_1.html

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