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渡邉達生の研究室便り

思い込み

2005/05/25

ホームセンターで、「ふるい砂」と書いた砂の袋を買ってきました。趣味の日曜何とかで花壇を作るのに、モルタルでブロックを積み上げるためでした。モルタルは、セメントと砂と水を混ぜてつくるという知識は、子どものころ、近所の工事現場を見て知っていました。ホームセンターでは、セメントはすぐに見つかりました。しかし、砂がないのです。そんなばかなと思いつつ、探しまわるのですが、あるのは「ふるい砂」と書いた袋入りの砂だけです。どうして、新しい砂はないのか。悩んだあげく、あることを思い出しました。海の砂は塩分があるので、モルタルにすると鉄筋をさびつかせてしまってもろくなる。川の砂を使うのがいいのだけれど、川の砂は採取を禁止されているところが多い。それで、海の砂を採取して塩分を洗い流して使うのだと。いつ聞いたかは忘れましたが、子どもの時、工事をしているおじさんから聞いたのかもしれません。その時、思いました。そうか、だから、「古い砂」なのか。海で採取した砂を水につけて、古くすることで、海の砂は塩分が抜けて「いい砂」になる。だから、「ふるい砂」だと。そして、セメントと「ふるい砂」を買って帰ったのでした。花壇はできました。ブロック70個ぐらいを積み重ねる、力作です。後には、使い残りの「ふるい砂」が残りました。
 それからは、その袋を何度も目にすることになりました。どうも、心が落ち着かないとは、このようなことをいうのでしょう。「ふるい砂」を、どうして漢字を使って、「古い砂」と堂々と書かないのだろうか。それでは、商品価値が下がってしまうのだろうか。そういえば、知っている小学校で越智小学校というのがある。海岸の「落の浦」という集落にあるのだけれど、そこに小学校が建てられた時、名前は「落小学校」とはしないで、「越智小学校」としたという。そんなことも思い出して、これも人間の成せる技なるかなとも思い直したのでした。でも、落ち着きませんでした。
 ある時のことです。その袋の「ふるい砂」という大きな字が気になりました。「ふるい」を何と大きく堂々と書いてあるのだろう。そんなに、古いのを隠したいのか。そこまで、考えたとき、ふっと、戦りつにも似た電気が走りました。待てよ。あの、子どものころに見た、工事をしていたおじさんたちは、砂を、「ふるい」にかけていたぞ。そして、「ふるい」に残った小石を捨てていた。「ふるい」の下には、細かい質のよい砂が山盛りになっていた。そうか、「ふるい砂」の「ふるい」は、「ふるい」にかけた砂ということか。ガ〜ン。
 子どもの目は、断片的。一つひとつは、よく見て、正しく理解しているつもり。大人になると、それを整理できる機会がやってくるのですね。

 高校の時です。私は、クラスで笑い者になりました。「エツ、源頼朝が流されたのは伊豆諸島ではないの!」この私の叫び声に、みんなは、唖然。そして、次の瞬間。クラスは大爆笑に包まれました。
「だって、源頼朝は、幼い時、伊豆の蛭が小島に流されたのでしょう。伊豆の島と言えば、伊豆諸島でしょう。伊豆の大島の近くに、蛭が小島もあるのではなかったの?」
 私の訴えも、ますます、みんなの笑いを大きくするだけでした。歴史地図を見ると、確かに蛭が小島は伊豆半島の内陸にあります。「そんなあ。」私の住んでいたのは九州。伊豆の蛭が小島は、伊豆の小島であり、伊豆には七つの大きな島があるから、そのそばに小島があると、独り合点をしていたのでした。
 その疑問が解けたのは、それから、25年ぐらいが経過して、実際に、伊豆の蛭が小島を訪れた時でした。そこは、伊豆半島の真ん中の田んぼの中でした。でも、かっては大きな川が流れていて、その川の中州に島ができていたということを案内板で読んだのでした。ガ〜ン。
 子どもの時は、純粋にものを見る力を持っています。それは、いいのですが...。それが、思わぬ展開になることもあります。ま、それも、人生かな。人が生きることの証なのかもしれません。

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