トラワヨ
2005/05/27
ここ、十数年来の疑問が解けました。
ずっと、ずっと、前のことです。「釜山港に帰れ」という歌がヒットしたことがあります。今の韓流ブーム以前のことです。確か、渥美二郎でした。曲の出だしの、地響きがするようなメロディとともに、「椿咲く春なのに〜」で始まる野太い声、それに、途中に挿入される「トラワヨ プサンハンヘ」という韓国語と思われるエキゾチックな歌詞の調子のよい響きに、心がひかれました。「でも、『トラワヨ プサンハンヘ』とはどんな意味だろうな」と、ずっと気にかかっていました。
時は、めぐりめぐって、八洲学園大学に来ました。去年(平成16年度)のことです。大学の先生の中に、韓国からお出でになった先生がいました。厳(オム)先生です。そして、昨年の秋学期から韓国語講座を、公開講座として始めました。私も弟子入りしました。
今日、5月27日の講座の中で、「親しみのある丁寧な言い方」がありました。動詞や形容詞の語幹に 아요(アヨ) や 어요(オヨ) を付けて、「〜ます・です」という親しい言い方を表すものでした。その例示に、오다(オダ) がありました。「来る」という意味の言葉です。오다 を「来ます」という意味にする時には、語尾の다を取って語幹の오に 아요 を付けるのですが、それが오아요(オアヨ) とはならずに、途中を省略して、와요(ワヨ) となるというのです。その時です、「ワヨ」って、どこかで記憶があるな、と思いました。この頃は年のせいか、よく記憶があやしくなるのです。その時はそのままでした。
そして、お昼を食べていた時のことです。待てよ、「ワヨ」って、「トラワヨ プサンハンヘ」の中の、「ワヨ」ではないかいな。そう思って、インターネットを駆使し、「釜山港に帰れ」の歌詞を見つけて確かめようとしました。韓国語の歌詞はなかなか出てきません。でも、あるサイトでやっと見つけました。そこには、 돌아와요 부산항에 と書かれていました。これが、「トラワヨ プサンハンヘ」 にあたる部分です。後の方の、부산(プサン)は「釜山」のこと、항(ハン)は「港」のこと、에(エ)は「〜に」のこと、ですから、「プサンハンヘ」とは、「釜山港に」ということになります。そうすると、 돌아와요(トラワヨ) の、와요(ワヨ)の部分が「来ます」であることは、間違いないようです。でも、돌아(トラ)の部分が何だかわかりません。これは、お手上げです。そこで、厳(オム)先生の部屋をノックしました。
先生曰く、돌아오다(トラオダ) という「帰って来る」という意味の、基本形の言葉があって、その語尾がかわり、돌아와요(トラワヨ)となったものであるとのこと。돌아오다(トラオダ)は一つの単語でした。
これで、わかりました。「トラワヨ プサンハンヘ」とは、「帰って来ます。釜山港に。」だったのです。ただ、歌詞ですから、詩としての意訳があって、歌詞全体の流れからいうと「帰って来てください。釜山港に」になるのかなという感じがします。それとも、別れていった人が、別れの間際に「帰って来ます。釜山港に。」と言ったので、それを思い出しているのかなとも思います。
これで、十数年、知らずに使っていた言葉の意味を知ることができました。
人は、知っていても、更に深く知ろうとはしないことの方が多いでしょう。わからなくても、わかる必要がないからです。でも、何かのきっかけでそれを知りたいと思うと、調べようとする力や、知り得た後の満足が出てきます。
知りたいと思える状況に、自分をどのように置くか、それがこれからの課題だと思いました。 小さな夢ですが、いつか、この歌の全てを韓国語で口ずさめるようになりたい。
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