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渡邉達生の研究室便り

文化の日

2005/11/02

11月3日は、文化の日です。5年前の2000年11月3日、私はこの日を特別な日にしました。パソコンに本格的に触ってみようと思い立ったのです。その年の3月にノートパソコンは貸与されていました。でも、なかなか、使用する踏ん切りがついていなかったのです。

思えば、小学校教師になり立てのころは、文章はガリ版の上に鉄筆で書いていました。そして、時代は過ぎ、和文タイプライターで文章をつくるようになりました。さらに、葉書大の画面で文章をつくれるワープロを使う時代となりました。そのうち、画面は大きくなり、格段に使いやすいワープロを使うことができるようになりました。しかし、これらの、文明の進歩に遭遇するたびに、その機器に慣れるのが、ひと苦労でした。それで、入力の方法は、和文タイプライターを使用していたころのままを踏襲して、かな入力でした。

しかし、2000年になったという節目の年、そして、文化の日という意味づけられた日に、今までの自分の殻を破って、自分を時代の文化の中に漂わせようと、パソコンに向かうことに決めたのでした。しかも、20年来のかな入力をローマ字入力に変えてです。

2000年11月3日、私は研究室で、ノートパソコンに向かいました。依頼されていた、800字程度の原稿を、Wordで書くことに取り組んだのです。それまでの、ワープロでしたら、1時間もかからなかったでしょう。それが、8時間ほどかかりました。できたのが、次の原稿です。私にとっては、文化的な再出発になりました。

【私が子どもの時、小学校へ通う道の途中に、石切り場があった。岩山から、石を切り出していたのである。岩山のゴツゴツした岩がきちんとした四角形の石となって切り出されるのが不思議で、学校の帰りには、そこで働いているおじさんたちの様子を見ていた。道具は、ゲンノウ、鉄でできたノミ、そして、長い鉄の棒や、クサビという棒の先を三角にしたものだけである。それだけで、あのかたい岩が形を変えていくのである。まるで、ノコギリで木を切るように。

おじさんたちに話を聞いてみると、石には「すじ目」があるのだという。そのすじ目にそってノミを当ててゲンノウでたたくと石はまっすぐに割れる。おじさんはそう言って、石を割って見せてくれた。石は見事にまっすぐに割れた。どの石を見ても、私の目には、すじ目といわれるものは見えない。ところが、おじさんには、どこにすじ目が入っているかが見える。まさに、達人であった。 先日、江戸城の巨大な石垣を見ていて、あのおじさんたちのことを思い出した。この石も人が人の力でどこかの山の中から切り出して来たのである。見事な四角形にカットされていた。

かつて、人はエジプトの時代から岩を四角に切り出すことができていた。そして、それが文化として、世の土台を支えていた。今は、パソコンによる技術革新・情報管理で、そのようなことは問題にもならない。文化はすさまじい勢いで発展している。しかし、気にはなる。岩を四角に切り出すことができる人間と、パソコンを駆使して瞬時に情報を操れる人間と、どちらが豊かな生き方をしているといえるかと。

人の豊かに生きることが何たるかを問い続けるのが、21世紀なのだろう。2000年は、かくして11月を向かえ、3日となった。私は、世にいう団塊世代のしんがり。古きを携えて生きる役回りならんか。】

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