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渡邉達生の研究室便り

葛藤(かっとう)

2009/09/18

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 とある郊外の川の土手に、葛(くず)が茂っていました。よく見ると、その中に新芽が出ていました。この季節にもかかわらずに新しい葉を生み出し、夕日に向かって頭をもたげていたのでした。これから寒くなる季節を生きるのは、さぞかし大変なことでしょう。しかし、その逆境を、凛として跳ね返そうとしているかのようでした。

 この、葛という漢字を使った言葉に、葛藤(かっとう)という言葉があります。葛(くず)と藤(ふじ)、どちらも、蔓(つる)性の植物の名前ですが、並べられて「葛藤」という言葉がつくられているのです。生活ではなじみのない言葉ですが、道徳教育ではよく使われます。「Aの生き方がよいか、それともBの生き方がよいか」と、ABの価値ある生き方を対比することで、生きる価値の真実をクローズアップしていくのです。小学校学習指導要領は次のようにいいます。「悩みや葛藤等の心の揺れ、...を積極的に取り上げ、自己の生き方についての考えを一層深められるよう指導を工夫すること。」...心が引き締まります。でも、葛と藤が、どうして生きる価値を対比する鑑となっているのでしょうか。

 そういえば、人には、葛や藤の蔓(つる)のように考えがからまることがあります。先日の総選挙が、まさにそのような状況であったことでしょう。Aがよいか、Bがよいか、はたまたCがよいか。しかし、心が揺れ動くだけでは、不安を増幅させるだけにしかなりません。心を揺れ動かしながら、ベクトルを真実に向かわせる必要があります。

 そこで、考えがもつれることを葛藤というのですから、からまっている糸口を見つけるために、そもそも、その葛や藤が示してくれている生き方を見てみましょう。

 葛はワイルドな雰囲気を漂わせています。低いところへ、平坦なところへ、そして、高いところへも伸びて行きます。低木であれば覆い尽くします。それは、いわば、なりふりかまわず、自己を主張し、相手を飲み込んでいくかのような生き方です。

 ところが、藤は違います。この頃では、藤は公園などに藤棚を作って植えられていますが、本来は自生しているものです。子どものころ、山で自生している藤を見たことがありますが、高い木の上に、花を咲かせ、後に実をならせていました。その蔓(つる)は木をしめつけるというのではなく、木のお世話になっているという感じで、あたかも他者によって生かされていることに感謝して生きているかのような生き方でした。 

 葛も藤も、それぞれに、価値のある生き方を知らせてくれます。人には、葛のように自己を前面に出して生きて行く「たくましさ」も必要です。また、藤のように他者によって生かされていることに価値を感じて生きて行く「おうようさ」も必要です。自分はどちらをとるべきか、それを考えることで、葛藤を実のあるものにしていく糸口が見つかるのではないでしょうか。

 それにしても、写真に撮った葛の若芽は、けなげに生きようとしていました。心が温かくなりました。

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