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渡邉達生の研究室便り

生きる力

2009/10/15

asd.jpg何と、台風の後にアサガオが花を咲かせました。台風18号が大風を吹かせたのは10月8日でした。その三日後、10月11日のことです。

このアサガオ、ツルはほとんど枯れ、見るにしのびなくなったので取り払おうと思っていた矢先に台風が来たのです。台風に痛めつけられ、それに「耐えた」ことが、かえって自分を取り戻すことになったのでしょう。花びらの大きさは往時の三分の一くらいの大きさで、小さなアサガオでしたが、どことなく、気品を漂わせているようにも感じました。「耐える」ことはつらいことです。しかし、それによって、自身に磨きをかけていくことができます。それが、「生き物」の証であって、生き物にある「生きる力」を見た思いがしたのでした。

さて、このことを、どう思うかです。人間も生き物です。だから、生き物としての耐える力・生きる力があってこそ、厳しい自然界の中で数百万年という年月を重ね、人という種(しゅ)を今に伝えることができています。

 かつて、艱難(かんなん)という言葉が使われ、「艱難(かんなん)汝(なんじ)を玉(たま)にす」という言い方が、人の生きる道筋を照らしたこともありました。人々は、その価値を、ことわざや名言として残し、伝えてきました。
 ・臥薪嘗胆(がしんしょうたん)
 ・雨垂れ石を穿つ(あまだれ いしをうがつ)
 ・成らぬ堪忍するが堪忍(ならぬかんにん するがかんにん)
 ・思う念力岩をも通す(おもうねんりき いわをも とおす)
 ・石の上にも三年(いしのうえにも さんねん)
 ・縁の下の力持ち(えんのしたの ちからもち)
 多くの人々が、これらの言葉を鏡にして自己を映し出し、なるほど・そうだ・もっと精進せねばと、自分に喝を入れ、前に進んできたことでしょう。

 人にも、「生きる力」はあったのです。しかし、小学校学習指導要領に、いいます。「学校の教育活動を進めるに当たっては、各学校において、児童に生きる力をはぐくむことを目ざし、...」「その際、児童の発達の段階を考慮して、児童の言語活動を充実するとともに、家庭との連携をはかりながら、児童の学習習慣が確立するよう配慮しなければならない。」...「学校の教育活動」「家庭との連携」で「生きる力」をはぐくむことが求められています。ということは、現代の子どもには「生きる力」が乏しい、ということです。
 
 現代は、文明によって作られた製品が人に楽(らく)な生活を提供し、さらには、もっと楽になる製品をつぎつぎと打ち出してくれる世の中です。それは、見方を変えると、文明が、人の「耐える力」をむしばむことになっているともいえるでしょう。人は、楽になることには弱いです。そちらの方になびきます。しかし、楽ということにかまけていると、気力や体力は萎(な)えてしまう、というのが「物の道理」です。

 今日のテレビの番組で、ある保育園のようすを紹介していました。その保育園では園児が、屋外で、金槌や釘をつかって、しゃがんで板切れの工作をしているのです。屋外ですから、椅子に座ることも、寝そべることも、地べたに座り込むこともできません。園児は、工作のおもしろさに夢中になりながら、知らず知らずのうちに、しゃがみこみます。また、重たい板切れや金槌を使うことで、足を踏ん張ることになります。遊びながら、足腰をきたえているのです。

 足腰が弱いとどうなるか...。
 現在、小学校のトイレは和式のトイレが多いです。ところが、家庭では、体に負担をかけない洋式トイレが普及しています。そのまま小学校に入学すると、和式のトイレにすわって用を足そうと思っても、足腰がふらついて用を足すことができず、トイレに行くのをがまんする子どもが多いとか。それで、子どもが気軽に和式トイレにも行けるように、足腰をきたえているとのことでした。洋式トイレもよいですが、和式トイレにもよさがあります。学校のトイレ設備を洋式に交換ということで問題の解決をはかるのではなく、足腰をきたえればどちらにも対応できる身体能力を身に付ることができます。

 考えさせられました。そう、そのように、どのようなトイレにも平気で行けることが、他の行動力をも大にすることでしょう。自信につながります。身近なところで、子どもの生きる力がそがれ、それを、克服していくことが求められているのだと思いました。

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