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渡邉達生の研究室便り

良いこと 悪いこと

2010/04/17

 桜の花もしだいに散り、若葉が顔をのぞかせるようになりました。若葉の季節です。まだ残っている桜の花が、若葉の到来を祝福しているかのようです。若い命が、けなげにもこれからの季節を生き抜こうとしています。
 
 さわやかさを感じさせるこの季節にも、悲しいできごとが報道されていました。

 取り込んだ洗濯物で子どもが遊んでいたので、親が物を投げつけて子どもに傷を負わせたというのです。きっと、日ごろから、子育てでいらだつことが蓄積されていたのでしょう。
 親は、だれしも、子どもを良い子にしようと、良いことを勧め、悪いことを止めさせます。子どもを育てることに、まじめになればなるほど...。しかし、その「悪いこと」は大人のする「悪いこと」とは違います。良い、悪い、を超えて、子どもの育ちを考えられる余裕が必要だと思うのです。

 よく知られているイソップ話『羊飼いとオオカミ』があります。オオカミが来たと村の人にうそをつく羊飼いの少年が出て来ます。この少年は、一見、悪い子に見えます。でも、子どもを育てる立場になったとき、この少年を悪い子と見なして良いのでしょうか。
 子どもも、そして、大人も、人を守るために、あるいは自分を守るために、やむにやまれず、うそをつくことがあります。そのことを省みずして、この羊飼いはうそをついたから悪い、と糾弾するのは、上っ面でものごとを考えていることになります。子どもを育てるときには、もっと、大らかな見方が必要なのではないでしょうか。

 このとき、羊飼いの心を想像してみるとどうでしょう。
 山の中にひとりでいて、村の人の羊の世話をしていた羊飼いの生活環境を補足したのち、「この羊飼いはどうしてこのようなうそをつくようになったのだろう」と問いかけることで、その羊飼いの暗い心底が想像できるのではないでしょうか。
「羊飼いは、一人で羊の世話ばかりをさせられていて、さびしかったのでは...」
「村人の羊の世話をしているのに、村人はだれもほめてくれなかったのでは...」
「村の人と一緒に遊びたかったのでは...」
というように、羊飼いの気持ちを想像することができたとき、それは、そのようなときにはうそをついてしまうかも知れないという自分の気持ちを見つけることになります。
 そして、そのようにして自分を見ることができたとき、うそをついた少年の悲しさが身に迫ってくることでしょう。それは自分にもそのようなときにはそうしてしまうかもしれないという気持ちがあるからです。そして、そうであっても、人とともに生きたい気持ちがあるから、そのようなことはしてはいけないという気持ちが湧きます。悪いことをしても、そのなかに、よい生き方を求めているのです。それを知らせてあげることが、生きる力を育てることになるのではないでしょうか。

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