どんぐりころころ
2010/10/28
先週の、ある日、公園に立ち寄りました。お目当ては、ブナの木。その公園には大きなブナの木が数本あるのです。かつての武蔵野を感じさせる、大木です。その木には、秋になるとどんぐりの実がなるはずです。行ってみると、あるは、あるは、どんぐりの実がたくさん落ちていました。
見とれていると、ボトンと音がしました。何の音か、だれもいないのに。またしても、ボトン。そうか、これはどんぐりの落ちる音だ。思わず、首をすくめましたが、そんなことをしても無理。上を見上げても、葉っぱのしげみに隠されていて、どこから落ちて来るか、まさに神出鬼没。楽しいような、怖いような。ま、運を天に任せて、どんぐりの実を拾いました。約、10個ほど。どんぐりの実は、手のひらのうえで、つやつやに光って見えました。
子どものころ、学校で工作の時間に「ヤジロベー」を作ったっけ...休みの日には近所の友達と一緒にビー玉の代わりにして遊んだっけ...「さて、このどんぐりをどのようにして遊ぼうか...」と思いながら家に帰りました。
今年は、どんぐりがあまりならない年だと、ニュースで聞きました。だから、クマが食べ物を求めて人里に出て来るのだと。クマにとっては受難の年となっているようです。おなかをすかせたクマさんにドングリがたくさんありますよって、言ってあげたいけど言ってはならぬか...、来てもらっても困るのではあります。世の中、多くの生き物が複雑にからみ合って、生きています。人も、その一員なのです。
ずっと、昔、どんぐりの生きるための知恵を描いた絵本に出会ったことがありました。『どんぐりかいぎ』という名前の絵本です。探すと、ありました。奥付をみると、〔1993年10月1日発行/こうやすすむ・文/片山健・絵/発行所・福音館書店〕となっています。17年前のことでした。この絵本の中で、作者は、どんぐりの実がたくさんなる年と、あまりならない年があるのは、どんぐりの木が生きるための知恵を出したからだとしています。なるほど...と、思わせてくれました。
どんぐりの木は、本当は、森の動物たちにどんぐりの実をたくさんあげたいのです。動物たちが喜んでくれることが、どんぐりの木にとってもうれしいことなのですから。ところが、たくさんの実を動物たちに与え続けたところ、動物たちは増え続け、落ちたどんぐりの実を全部食べつくしてしまうようになったのです。
動物たちは、拾ったどんぐりの一部を地面に埋めて保管していました。どんぐりの実が地表になくなっても、埋めてあればそれを掘り出して食べることができます。生き物たちの、生きるための知恵です。ところが、埋められたどんぐりのなかには掘り起こされないものも出てきます。そのどんぐりが春になると芽を出して、新しいどんぐりの木となるのです。これが、どんぐりの木たちの、生きるための知恵です。どんぐりの木たちの子孫を残すための知恵と、動物たちの食べ物を確保するための知恵が、うまく、かかわりあっていました。
ところが、動物たちが増えすぎると、そのパワーバランスがくずれました。すべてのどんぐりの実は食べられ、どんぐりの木は子孫を残すことができなくなるという状態になったのです。そこで、どんぐりの木たちは、会議を開き、一年おきにあまり実がならない年をつくり、動物たちが増えすぎないようにする...ということにしたというのです。
クマさん、この秋冬をしのぎましょう。クマさんの生きることは、どんぐりの木の生きることがあってこそ、成り立つことなのです。しかたがありません。でも、来年は、いっぱいなりますよ。
拾ったどんぐりの実は、植木鉢に埋めてみることにします。自然に、トライ。
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