<はじめのことば>秋学期の始まりです。思えば春学期の4月の頃から、相当の間、ブログをお休みしました。暑さ、仕事、ビール、この三平方の定理に埋もれてしまっていたのでした。気がつけば、腰をいためてヨチヨチ歩き、そして、のどを痛めて咳き込みマン、体はガタガタに。やはり、時に、ブログを書いて、気持ちを新たにすることが大事だと感じ入った次第です。秋学期の開始とともに、ブログも再開いたします。
<本日の話題> とうとう、ナスが実りました。まだまだ小さい姿ですが、とうとう、実ってくれたのです。8月、9月と、ナスは、次々と薄紫色の花をたくさんつけました。でも、すぐに散るのでした。かれんな花たち。どうして?何故!why,...気持ちはふさがるばかりでした。
本日は、もはや10月。もうダメだろうと思ってはみたものの、一縷の望みをかけてナスの葉をかきあげました。すると、何と、ウフフ。実がついているではありませんか。まごうことなき、ナスの実です。君を待っていたよ。やっと、現れてくれましたね。ありがとう。そして、右上の方には、何だか思わせぶりにもう一つの物体もありました。
君は、アサガオやミニトマトと一緒に、5月の下旬に、種をまかれたのでした。普通よりも、ひと月以上も遅い種まきに、戸惑ったのかもしれませんね。一番先に芽を出したのがアサガオ。二番目に芽を出したのがミニトマト。そして、アサガオに遅れること二週間以上、やっと三番目に芽を出したのがナスでした。アサガオは、さっさと花を咲かせました。ミニトマトも花を咲かせて赤い実をつけました。ところが、三男となったナス君、あなたは、花を咲かせても実をつけることをしませんでした。薄紫色の花をつけては、桜の花のように、さっさと散ってしまうのです。その潔さには、何か、思うところがあったのでしょうか。
次は、君たちへの思いを、違うところで発表したものです。再掲します。
<一ヶ月ほど前のこと>今、家では、毎朝、アサガオがたくさんの花を咲かせています。また、ミニトマトが赤い実をつけています。しかし、ナスは花をつけても実をつけるまでにはなりません。今年の夏は、アサガオとミニトマトとナスの三者に、いろいろなことを教わりました。
5月の終わりの頃、この三者の種を同時にまきました。種は4月の終わりには手にいれていたのですが、忙しさに、ついつい遅れ、一ヶ月ほど遅い種まきとなりました。そのとき三者を見比べてみて、改めて気づくことがありました。アサガオの種は大きいということです。アサガオの種は小粒ですが、それよりもミニトマトの種はとても小さく、そしてさらに、ナスの種はそのミニトマトの種よりもとんでもなく小さかったのです。
種をまいて、三日でアサガオは芽を出してきました。しかし、以後の数日、いくら待っても、ミニトマトとナスの芽は出てきませんでした。その間に、アサガオは双葉を広げ、本葉を出して、ツルをのばし始めていました。まさに、アサガオのひとり勝ち状態でした。その生命力はミニトマトとナスを圧倒している....そんな感じさえしました。
それから遅れること一週間、ようやくミニトマトも芽を出しました。しかし、その芽の茎はアサガオの芽の茎とは比較にならないほどに小さく、弱々しいものでした。そして、さらにそれに遅れること10日ほどでナスが芽を出してきました。ナスの芽の茎はミニトマトよりも極端に細く、まさに極細状態。これでやっと三者が太陽の下に並びました。喜んだものの、その差は歴然としていて、すでに大きな葉っぱをたくさんつけたアサガオを前にすると、ひ弱に見えるミニトマトやナスの行く末が不安になるのでした。
ところが、それからの毎日、水をあげていると、ミニトマトやナスの生長には目を見張るものがありました。ミニトマトは茎を上に向けて高く、高く、伸びます。アサガオは支柱にすがり、ツルの先端はそばにあるものを頼りにさっさとのびていきますが、その生きる姿はなんだか頼
りなげです。常に周りにあるものを伺い、周りにあるものに自分をからめて生きようとしているのです。のびようとする自分の意思はあるのですが、丈夫な他人をとらえることに躍起になっているようです。ところがミニトマトは自分の茎を持ち、上に向かってぐんぐん伸びて行きます。アサガオの背丈をいつの間にか追い越していました。
また、ナスは葉っぱを大きく広げるようになりました。そしてアサガオの葉っぱよりも大きく分厚い葉っぱになりました。茎も太くなりました。
自分の支柱をもたないアサガオ、自分の支柱をもつミニトマトとナス。それぞれに、生きることの知恵をたくわえていました。アサガオが芽を出すのが早かったのは、自分の頼れる支柱を早く確保したかったからであり、ミニトマトとナスの芽が出るのが遅かったのは、その間、支柱を支える自分の根っ子を、それぞれ、地中につくり出すのに時間をかけたかったからだと思われます。ナスは、ミニトマトより、重たい実を茎に吊り下げるようになります。だから、より、丈夫な茎と、より豊富な養分が必要となるために、地中での準備に時間をかけていたのでしょう。
やがて、三者に花が咲きました。三者三様の花でした。花から実になっていくのが生きる者のストーリー。アサガオは花の咲いた後に種をこしらえています。ミニトマトも実ができて赤く熟れました。この実の中に種があることでしょう。
ところが、まだ、ナスには実がなりません。たくさん花をつけるのですが、実にはならずに花は落ちてしまいます。実(じつ)は、ひと月ほど前、生育が遅いからと、たくさん肥料を与えたことがありました。猛暑に立ち向かう元気をつけてあげようとしたのです。それで、葉っぱは茂るようにはなったのですが...。どうやら、これが花の健全な生育に悪影響を及ぼしたのではないかと...、今になって反省です。過度の心配は、自分の力で生きようとしている者にとって逆効果となったようです。ナスさん、ごめん。もう少し、待ってみます。どうぞ、実をつけてください。......そして、本日、ナスは実をつけたのでした。
<本日の話題にもどる>このナスの実に、名前をつけることにしました。ナスの太郎。ナスの太郎君、すくすくと育ってください。