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渡邉達生の研究室便り

自分との対話

2010/12/27

陽だまりのさざんか.JPG

冬の日差しは、空の低いところから、斜めに鋭く入って来ます。お日様が、光を「射る」という感じです。道端のサザンカが、まぶしそうに日差しを浴びていました。
 学生の頃は弓道部に入っていて、道場通いの毎日でした。弓道では、矢を射た後の「残心(ざんしん)」という心の持ち方が大切にされていました。矢を放った後、そのままの姿勢で、しばらく的を見すえるのです。矢が的に当たっているところを見ていると、矢を放つ前の緊張していた自分と、矢を放った後のゆるんだ自分とが対話をしているようで、心は豊かな状態となりました。
 サザンカを射たお日様も、残心の境地でしょうか。自分の光の効用を見届けているようでもありました。

 わたしたちの人生も、「少年老い易く学成り難し、一寸の光陰軽んずべからず」」といわれるように、前に進むことを専らとしています。しかし、時に、自分の人生はどうであったかと、生きてきた自分と対話をして、自分の生き方を見届けると、心はそれまで以上に豊かになるのではないか...そのような気がします。

 ある学生さんが、十五歳のときの自分に手紙を書きました。社会人の学生さんで、今はすでに、人生のベテランの域に達している方です。以下にその手紙の全文を紹介します。

拝啓 十五歳の私へ
あの頃あなたはバスケットに夢中でしたね。 股関節脱臼が悪くなる!という母の心配をよそに、毎日部活に明け暮れていました。背が一番小さかったのに責任感だけは強かったから、キャプテンに選ばれて・・・それでも、郡大会を勝ち進んで県大会まで行ったのは奇跡でした。県大会ではレベルの差に圧倒されて一回戦で負けてしまったけど、あのときの爽快感、40年経った今でも忘れられない。 

夏休みは、朝7時に家を出て夜は7時ごろ帰る生活。一年生の頃はボール磨きしかさせてもらえず、一度ボールに腰掛けて先輩にこっ酷くしかられたこと、今でも忘れられない。 三時間以上水を飲ませてもらえず、その後飲んだ水道水の味、今も忘れられません。水がこんなにおいしい物だったのかって・・・体育館の隣で、初恋の岸本君が体操部で頑張っているのを見て、胸がドキドキして・・あんなにトキメク気持ち、暫く感じてないです。

バスケ部員は10人以上もいたのに、監督は'今度の持久走大会で10位以内に入らなければ、罰としてスクワット・・・回、腕立て・・・回だぞ!'と言ったのには正直参りましたね!でも'キャプテン'の面子にも関わるし、前の日も眠れず、相変わらず足を心配する母は、それでもその日の朝、'勝つ'からと、'カツ'を揚げてくれた。'朝からこんなもの食べられないよ~'と、有り難味もわからなかった私、今思えば本当に感謝します。でもその母も逝ってしまった。 

当日は本当に緊張して・・そのドキドキは今でも忘れられない!途中で何回もあきらめそうになり、足も痛くなり、'もうだめだ!'って思った。でも路上で応援してくれた見ず知らずの人の、'ガンバレ~'という声が私を励ました。そして何よりも家族の顔が浮かんだ!ばあちゃんは、股関節の悪いほうの足を、毎晩私が寝るまでさすってくれた!家族の愛・協力があったから頑張れたのかもしれない。あのときの'がむしゃらに頑張る!気持ち'、今思うと、本当に懐かしい。若かったから?純粋に一生懸命に目標に向かっていた自分、毎日が本当に充実していた。

その持久走大会では結局四位だった・・・ほっとしたけど、すぐに'10位以内に入れなかったのは・・?!"と心配になった。そのチームメートにかけた言葉は、'全力・・尽くしたんだから・・いいよ・'だけだった。もっとなにかマシな言葉はかけられなかったのかって悔やんだ。本当は慰めにもなっていなかったのかもしれない・・ 

自分のなかの'達成感'の影に、誰かの'屈辱感'が背中合わせになっているって、そのとき初めて分かった。人を'労わる'ことの難しさも学んだ気がする。人の気持ちを考えて、人の立場になって物を考える!ってこと、あれから四十年、ずっと'座右の銘'にして生きてきた。心に一生傷となって残る'イジメられた'経験も、あのときのバスケに青春をかけていた日々の思い出が、その痛みも少し払拭してくれている。 

自分に勝つのは人に勝つよりもっと難しいってこと、今になってよく分かる。そして、人の助け・協力なしには何も達成できないんだってことも。若い頃はともすれば、'私が頑張ったから勝てた!'って思いがちだった。でも本当は違う。特に家族の愛情・支えがなければ今の自分はなかった!ってはっきり言える。あの頃の私にはそれは分からなかった・・ 優しかった祖母も両親も逝き、感謝の気持ちもろくに伝えられないのが本当に残念。今母となり妻となり、かけがえのない'私の家族'をその分も精一杯愛したいと思っている。天国のお母ちゃん、ばあちゃん、おとうちゃん、本当にありがとう!

四十年後の ひとみより  敬具

心を打たれます。このように、子どものときの自分と対話をすることで、自分の今あることの意味がわかってきます。だから、人生はすばらしいのだと思えるようになります。みなさんも、自分への手紙を書いてみませんか。

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