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渡邉達生の研究室便り

堅実

2011/02/28

ヒヤシンス126日目花.JPG

  ペットボトルで始めたヒヤシンスの水栽培が、126日目になりました。数日前から、かたく閉じていた葉をこじ開けて、花が顔をのぞかせるようになりました。
 この間、約三ヶ月。水に浸された球根は、急がず、しかし、着実に己の中に秘められた生命の仕組みを実行してきました。思い起こしてみると、水面下で約100日間をかけて根を張り、その後、約20日間をかけて葉の芽を伸ばし、そして、その葉の間を押し開けて花の芽が出てきたのです。球根をさわってみると、堅(かた)いです。何でもないことのようですが、ここには堅実な歩みがあるように思えます。
 わたしたちは、生きようとするとき、先を読もうとします。しかし、その読めることが、不安をもたらすこともあります。そんなとき、植物の生きる様子に理解を深めると、心に、ゆとりが生まれる、そんな気がしてきました。
 
『心の羅針盤』には、次の手記が寄せられています。
 ◇ ◇
「私が仕事場に向かう途中に、学校のグランドほどの広さの公園がある。そこには、大人が両手を回してやっと届く程の太さの木がたくさん植えられている。夏場には生い茂る葉によって木陰を作り、木々を通る風は心地良く、暑さをやわらげてくれる。朝はそこを通るとすがすがしい空気を感じる。土鳩やキジバトや雀の姿も多く見かける。小さな昆虫を見つけてついばむ鳥たちの姿や、季節によって葉の色を変化させてゆく景色の中で、命の繋がりをしみじみ感じる事ができる場所である。
しかし、年に数回、見るも無残な姿に伐採される。剪定などではなく、木々は枝も葉も全て切り落とされ、まるで大きな「つまようじ」のような姿になる。雇用対策の為に、「歩道や公園内に枯れ葉が落ちるのを防ぐ為」を理由に行われるのであるが、痛々しい姿である。日差しや雨をしのぐ枝葉も無く、休む場所を奪われた鳥たちも哀れで、本当に申し訳なく思う。人間の都合で丸裸にされた木を見るのが忍びなく、その時期はこの公園を通る事もなくなる。
ところが、気がつけば、木々は新たな枝を伸ばし、緑豊かな葉を茂らせている。そのたくましい生命力には感動する。木はそこに存在する事によって、私たちの気持ちを和ませ、木陰をつくり、風雨を和らげ、鳥たちを休ませる。落ち葉は土に返り養分となり新たな命を育む。木が木であることが素直にすごいと思える。どのような環境にあっても、必死に状況にあわせて生き抜いている。繰り返される季節の中で、当たり前に生きている事に力強さを覚えると同時に、たくさんの物を与えてくれていると感じる。
人間は困難な状況に置かれた場合には悩み、不安を抱き困惑する。又、単調な日々に慣れると変化を求める。しかし、自分自身の土台が出来ていない場合には、あがいても解決しない事が多い。木もぜい弱な幹や枝では、簡単に折れてしまう。風雨に身をさらしながら、日々、太くたくましく成長する事で、簡単には折れる事がなくなる。人間も同様である。繰り返される日々を誠実に生き、与えられた役割を果たすことでたくましく成長し、自分では気がつかないうちに誰かの役に立ったり、人を支えたりする人間になれるはずである。その為には、木が木であるように、人は人として生き抜こうとする気持ちを持つ事が必要ではないか。そのような生き方をしたい。」
 ◇  ◇
身の周りにある自然に、目を向けることで、人は、自身をたくましくしていく手がかりを得ることができます。今、季節は、春。植物にとっても、人にとっても、節目の季節です。

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