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渡邉達生の研究室便り

○△□

2011/03/27

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ずっと以前のことです。10数年前になるでしょうか、皇居のほとりにある出光美術館に行ったことがあります。そこで、江戸時代の禅僧仙崖によってかかれた「□△○」を見たことがあります。太い筆で、黒々と、「□△○」と横書きに描かれていました。そして、「宇宙」と名づけられていました。描かれたのは江戸時代ですから、目をやる順番は右端からでしょう。見るときには、○△□と見るのだと思います。そこまではわかるのですが、そこからは、何のことだか...。○と△と□。これで、どうやって宇宙になるのか。深い精神があるのでしょう。でも、皆目見当もつきませんでした。そして、そのことは、忘れていました。
 ところが、先日、そのことがふっと頭の中によみがえってきたのです。

 それは、陶芸で、急須をつくっているときでした。何かオリジナルな形の急須をと考え、わたしのふるさと大分県の特産、カボスの形にすることにしました。で、カボスの形をうまく表現するために、「風船づくり」という技法でつくることにしました。風船づくりとは、ろくろで、風船の形のように、中が空洞の球を成形するつくり方です。そして、土が生乾きのときに、カッターでふたの部分を切り取ります。その後で、別につくった注ぎ口と、取っ手を合体させます。

 さて、メインとなるカボスの形をろくろでひいていると、粘土のかたまりが、しだいに球に変わっていきました。球は美しいです。そのことに改めて気づかされたのでした。余分なものをそぎ落としたところに美しさは生まれています。その美しさをしげしげとながめているとき、あの仙崖の、「○△□」が、頭に飛び込んで来たのです。あれは、「余分なものをそぎ落とし、ものの本質を見よ」「生きることもかくあらん」というメッセージではなかったかと。人は生きるとき、気にしないようであって、どこかで、欲や損得の勘定を働かせています。それから抜け出せたときが、美しいとき...。いつの間にか手は止まっていました。

 やがて、見事な球体も、ふたをつくり、注ぎ口を付け、取っ手をつけると、一つの具体を主張するようになってしまいました。これでは急須。当たり前です。それを作ろうとしていたのです。でも、なぜか、心はトーンダウン。途中で、道草を食っているときの方が、心ははしゃぎました。年を重ねます。

 その急須の素焼きができあがりました。(写真)この後、本焼きに。

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