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渡邉達生の研究室便り

あきらめる

2011/03/08

龍と姫2.JPG

「あきらめる」という言葉を使って短文をつくりなさい。という問題が出たら...。
「ここ一年ほど、ウォーキングをあきらめていました。」
という文章が書けます。...ダメですねえ。何かのときにやめて、ついそのままずるずると、今に至っています。
 歩くことは体にいいことだとはわかっていても、歩く気にはなりませんでした。もう、あきらめていたのです。
 道徳で、あきらめないで、がんばりましょう、と言われても、その言葉だけでは、あまり効果はないようです。

 ところが、三日前の日曜日のことです。何をするともなく、ごろごろとして一日が過ぎようとしていました。外を見ると、もう日が暮れるようとしています。そのとき、この一日が無為に過ぎていくのが惜しくなりました。そのときです。何と、「よし、歩く。」と、思い切った言葉が口から出たのです。久々に、装備を整え、歩き始めました。歩いていると気持ちは前向きになります。新学期の準備のことが頭に浮かんできました。

 わたしが担当している科目に、「地域社会との連繋」という科目があります。この科目では、心の中に、いかにふるさとを形成していくか、ということをテーマにしています。新年度は、その中で、新たな活動を加えたいと思い始めました。そして、子どものときの心に残っている記憶を絵巻物にしたらどうだろうかと、考えついたのです。子ども時代に見たり、聞いたりしたことを、今、絵に描き表すことで、自分が生きていたことを、再確認することになります。子どものときのよい思い出は、いくつになっても、自分に力を与えてくれます。それは、生きることを支えてくれる力となるでしょう。帰ったら、まず、試しに絵を一枚描いてみよう。そう思うと足取りも軽くなり、1時間半を歩きました。

 家に帰ると、さっそく、A4のコピー用紙と鉛筆とを取り出しました。子どものときのことで、思い出に残っていること...、いろいろと考えていて、地域に伝わる伝説を思い出しました。おばあちゃんから聞いた、神社にまつられているお姫様と、龍との話です。平安時代のことだそうです。その中の、ある場面の絵を鉛筆で描き、色鉛筆で軽く色をつけ、携帯電話のカメラで撮影し、パソコンにメールで送りました。それが、上の写真です。この絵を見て、どのような場面かがわかる人は、わたしの郷里の人です。その思いを共有できる人たちのいる所が、ふるさとです。このような、自分にとっての思い出の絵を、次々とパソコンのファイル上に連結していくことで、自分のふるさとへの意識が高まりそうです。新学期になったら、ぜひ、取り組んでみたいと思いました。そして、ウォーキングも続けたいという思いがわいてきました。

 三日目の今朝は、5時起きで、早朝、1時間を歩きました。薄暗い中でしたが、心は晴れでした。今後もウォーキングを続けられそうです。一年間、あきらめていたのですが、復活です。

「あきらめる」という言葉は、現代は「やめる、放棄する」という意味合いで使われることが多いけれど、もともとは「あきらかにする」という意味で使われていた。ということを聞いたことがあります。

 そういえば、「深くする」ことを、「深める」といいます。「高くする」ことを、「高める」といいます。「明らかにする」ことを、「明らめる」といえそうです。

 あきらめるということは、単なる放棄ではなく、「できない」けれど「したい」という、せめぎあいの延長にあるのでしょう。そして、「したい」という思いが復活してきたとき、自分の真の思いを明らかにする、明らめるとなると考えられます。うぬ。ややこしい。問題は、自分の真の思いを、どうやって導き出してくるかです。今回のことでいうと、1年間、しなかったことが、そうさせたということでしょう。気を抜くことも、大切だということでしょうか。あきらめることが、明らめることになる。なんだか、「あきらめる」という言葉が、不思議な言葉になってしまいました。

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