敬意と親密、理解と寛容
2011/04/10
4月になりました。新年度の始まりです。近所の桜も咲きました。自然は、生であることを示し続けます。道元禅師の『正法眼蔵』に、「生も一時のくらゐなり、死も一時のくらゐなり。たとえば、冬と春のごとし。冬の春となるとおもはず、春の夏となるといはぬなり。」とありました。春は冬がなったものではなく、春は、元々からにして、春であった。今、その言い回しに、力強さを感じます。
さて、新年度にあたり、手帳を新しいのに、替えました。昨年度の手帳には、余白に、通勤途中で読んだ文庫本『ローマ人の物語』(塩野七生・新潮文庫)の中の、心にズシンと来た言葉が書かれています。読み始めたのは、昨年の7月の終わりの頃。そして、既刊分の40冊目を読み終えたのは、今年の2月の終わり。夏から冬にかけての長丁場でした。続きを買いに行っても、書店には無いこともしばしば。それでも、辛抱強く入荷を待ち、この本を読み続けたのでした。
手帳にあるメモを追ってみます。
「敬意と親密さは並立しにくい。」「親密さは甘えを生む。図に乗る。」
「理解することと賛同することは別ものなのである。」
「寛容とは同意することではない。同意しないけれど認めるということである。」
古代ローマの人々の生き方をして、作者の塩野さんが言わしめている言葉です。
敬意と親密さとのかかわり...これは、家庭での親子、学校での教師と子どもにいえます。今の世の中、親子や、教師と子どものかかわりでは、親密になることに心をくだく向きもあるようですが、それが子どもの「図に乗る」ことを進めるのであれば、子どもの成長には逆効果。ときに、敬意をもたれる、敬意をもつ、というかかわりに気を配ることが必要でしょう。
理解と寛容とのかかわり...これは、人間関係にいえます。近年は、情報機器の発達とともに、人も、事実がどうの、データーがどうの、相手の間違いがどうのと、正当性にこだわりがちになっています。気質の具えもその延長にあるようで、友達や職場などでの人間関係でも、つい、トラブルを抱えがちになることが多いです。そのようなとき、あなたの意見に賛成はしないけれど、あなたがそう思っていることには同意する。あなたの意見に同意はできなくても、あなたのことは認める。という心の動きをつくり出すことによって、心は、おだやかになる方向性を見出すのではないでしょうか。
思えば、昨年度は、これらの言葉に、生きることのヒントをもらっていたのでした。
さてさて、今年度の手帳には、どのような言葉がメモされて行くのでしょう。
八洲学園大学 〒220-0021 神奈川県横浜市西区桜木町7丁目42番地
出願・資格取得について・入学前相談・教育訓練給付金等はこちら
入学支援相談センター 045-410-0515/u-info@yashima.ac.jp
在学生・卒業生・教員免許状更新講習・就職関連はこちら
学生支援センター 045-410-0515/u-info@yashima.ac.jp
広報・公開講座・教員への取材等はこちら
総務課広報係 045-313-5454/u-yue@yashima.ac.jp
八洲学園大学パンフレット ※八洲学園大学の各種資料をダウンロード頂けます。
ご希望の資料はPDFでも閲覧可能です。
PDFファイルを閲覧するには、Adobe Acrobat Readerをインストールしてください。