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渡邉達生の研究室便り

秋に新芽

2011/10/11

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秋に新芽、そうか、その手があったか。10月も半ばになろうかとするこの時期に、新芽を見ることができました。
 新芽は、春から初夏にかけてと、いつの間にか決めてしまっていましたが、10月からだって新芽を出す木がいるのですね。その気概やいかん。やがて来る木枯らしの寒さも織り込み済みなのでしょう。そのけなげさに啓発され、気持ちをプッシュ。わたしも一念発起。

 実は、ずっと、グズグズと思い続けていることがあります。
 気にかけていた、新たなホームページ「心をひらく」は作成することができました。心の教育、道徳教育のための、手がかりとなる、ホームページです。学校の先生方や、家庭のお父さん・お母さん方が、子どもの心を育てる、また、自分自身の心を育てる、手がかになるように、育てるよい心を描いたものです。
どうぞ、みなさん、 心をひらく をクリックして、楽しんでください。

 そのホームページができたので、一段落していました。前々から、取り組んでみたいことが別にあったのですが、そのホームページの作成に思いのほか手こずり、新学期も始まって、そのことは先延ばしかなと考えていたところでした。でも、10月に新芽を出す木の気概にふれ、取り掛かることにします。それは、心の教育の教材として漢字を教材化することです。仮のタイトルとして、「漢字コミュニケーション」。

 学校では、心の教育・道徳教育の教材は、読み物が主となっています。読み物のお話に登場する人物の人生観を読み深めることで、価値のある心のもち方を学ぶことができます。ただ、家庭で、そのような雰囲気をつくりだすことは困難です。家庭はくつろぐところであるからです。その家庭での心の教育の方法を考えたときに、もっと、気軽に、日常会話の中で、人生観を学ぶ教材はできないか...。そう思っていて、子どもも知っている漢字の、その成り立ちを、人生観を学ぶ視点で振り返ってみたい...と思うようになりました。

 例えば、誰もが知っている、という漢字。この形は、山の頂が三つならんでいる景色をイラストしたものだといわれています。でも、不思議です。真ん中の縦棒が一番高くて、その両脇にある縦棒は、どうして低くなっているのでしょう。高い山が手前にあり、その両脇の遠くに低い山がある、という景色でしょうか。しかし、手前の中央に高い山があれば、遠くの山は片方だけで、もう一方は、中央の山よりも手前に近づくはずです。中央の山が、手前に突き出て、左右の遠くに低い山が二つあるという景色は、或る地域にはあっても、どこにでも見られる一般的な景観ではないように思います。文字ですから、一般的な、だれでもが納得できる景観がベースになっているはずです。だから、不思議なのです。

 このように思っていて、はたと、思い出すことがありました。長野県の八ヶ岳の一つ「三ツ頭(みつがしら)2580m」に、小学6年生の子どもたちと登ったときのことです。4時間程歩いて、やっと頂上に着くことができました。頂上には霧がかかっていてまわりはよく見えませんでした。しかし、休憩していると、風が出てきて、あたりの山々の景色が姿を現しました。何と、眼下には、切り立った山の尾根が幾筋も伸び、その尾根の両脇は谷になっていました。見事な景観に、いつの間にか、疲れは吹き飛んでいました。その景観が、まさしくの形でした。

 一番高い尾根の上にある道を自分たちが登って来ていました。その尾根の両側は谷になっていて、その谷の向こう側にも、低い尾根がありました。左右に、自分のいる尾根とは別の、一段低い尾根が別々に連なっているのです。山という漢字は、そのような景色を表していると考えられます。この山の形を見る人は、漢字で表した、真ん中の高い棒の先に立って、あたりの山々を見ていることになります。

 その目には、すばらしい景観が映っていることでしょう。そして、一歩一歩の積み重ねで山を登りきったことに満ち足りた思いや、流した汗にさわやかさを感じたりしていることでしょう。

 わたしたちは苦労を積み重ねることで、幸せを感じることができます。それが、生きることです。という漢字は、そのようなものの見方を暗示させてくれます。

 日々の生活の中には、高い山に登るように、地道な努力を積み重ねていかなければならないことがあります。でも、続けていても、思ったようには成果が出ないと、いやになったり、続けることがばからしくなったり、さらには、していることの意味を見失ったりして、へたりこんでしまうこともあります。

 そのようなとき、つい、叱咤激励しがちになります。でも、一旦、気落ちしてしまうと、なかなか、気持ちを立て直すことができないのも人間です。がんばりなさい、がんばらないとだめだ、というような引き締めだけでは、限界があるのです。かえって、心を追いつめ、そっぽを向かれてしまったのでは、何にもなりません。

 そのようなとき、山登りの体験を話しながら、このの文字の持つ意味を知らせたら、どうでしょう。注意するのとは違います。雰囲気もソフトになります。新たな展開があるのではないでしょうか。また、山という文字を見るために、一緒に山に登ろうよと、山登りに誘えたらいいですね。生きることの尊さに気づかせていくことができるのではないでしょうか。

 以上、という漢字の場合でした。10月に新芽を出した木の枝に元気をもらい、このような漢字コミュニケーションの話題を、春までには50ほどつくりたいと思いました。

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