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渡邉達生の研究室便り

左足の親指

2012/02/05

行進では、どうして、左足が強い拍なのか...。
小学生のときから、ずっと、気になっていました。
 半世紀前の小学校。運動会が近づくと、朝会の後、校庭の周りを学級ごとに行進していました。そのとき、先生が言いました。「音楽をよく聞くと強い音ある。それが左足です。強い音に左足を合わせましょう。」
 そう聞いてスピーカーから流れる曲を聞くと、なるほど、強い音が、拍を打って聞こえてきます。行進曲は、旧友、双頭の鷲の旗の下に、などでした。曲名に時代を感じます。小学生に軍隊の曲です。ま、それはさておき、それらの曲の、強い音に左足を合わせると横の列の人と足がそろいました。左足は、強い音に合わせるので、力強くなります。それ以来、行進曲に合わせて歩くときには、左足を強い拍に合わせて歩いていました。そして、ずっと思っていました。右足の方が力が入るのに、なぜ左足を強く踏み込むのかと。

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このことを、改めて思い出したのは、「止」「歩」という漢字を調べていてのことです。
「止」という漢字は漢字のもとになったといわれている甲骨文字では、「足が止まっているようすをイラストにしたもの」だといいます。で、「歩」になると、足が二つ、前足と後ろ足になるというのです。これが、わかるようで、いまいち、わかりませんでした。

 『学研漢和大字典・藤堂明保編・学習研究社』での図解は、右のようになっています。
 青の部分が「止」で、緑の部分が「歩」です。
 でも、足の形だというけれど、なぜそうなのか...。それがわからないのです。

 止の、下にある横線は、スタートラインでしょう。そして、湾曲しているのは「かかと」でしょう。そこまではわかるのですが、ビユーッと斜め上に伸びている線は、何なのでしょう。足首かなとも思ってはみたのですが、無理があるような気がします。これで、何日も過ぎました。

 そして、はたと気づきました。これは、足というよりも足跡であるということ。さらに、足跡で外に出る特徴的なものは親指であることを。止まるには、足の親指をしっかり踏ん張る必要があると、古代の人は考えていたのではないでしょうか。そこには、意思の介在があるのを感じます。止まるということは、歩きたくないから止まるということではなく、止まる必要があって止まる、という前向きに生きる思想を漂わせています。そして、「止」は親指が右に出ているので、左足です。「歩」は、右足、左足と、進んでいます。

 で、行進曲のことを、思い出しました。行進では、なぜ左足に力をかけていたのかと。考えていると、力の入りにくい左足に力強さを感じさせることが、行進には必要ではなかったかと思うようになりました。弱い左足を力強く踏み込むことで、体のバランス感覚を整え、長時間にわたって、無理なく歩き続けることができる...かなと。子どものときには気づかなかったことです。

 そう思っていると、また、思い出すことがありました。行進を止めるときには、その場で足踏みをしていると、先生が、「ピーッ・ピッ、ピッ・ピッ・ピッ」と、笛を吹くのですが、始めの「ピーッ・ピッ」が、予れいで、今から止まりますよという合図、次の「ピッ・ピッ・ピッ」の音に、左足・右足・左足を合わせ、全員が、ぴたっと止まっていました。そう、左足で、止まっていたのです。「止」の文字と同じです。古代の人たちもそうだったのかもしれません。左足の親指が、活躍してくれていた、子どものころのわたしでした。
 一緒に行進の練習をしてくれた学友と先生に感謝、みんな、どうしているかな。

追伸  左足の勇み足 

翌々日は雨でした。道を歩くとき、傘をさして、下を向いて歩きました。前を歩いている人がいました。何げなくその人の足を見ていて、気づきました。あの、甲骨文字の足の形がそこにあるのです。甲骨文字の「止」の、右にビユーンと伸びていたのは、親指ではなく、やはりといういか、足首からふくらはぎにかけてのラインでした。今までは、自分の足を見ていたので、そうは見えなかったのですが、自分以外の人の足を見てみると、そうなります。自分の足を見るとき、目線は内側からになります。でも、他人の足を見るとき、目線は足の外側からになります。「止」は、左足で、その人の左斜め後ろから、他の人が見た形でした。親指だと思ったところはふくらはぎです。...いやあ、勇み足でした。ちょっと、反省。でも、これで決着がつきました。冷たい雨の中ではありましたが、左足に力が入ったのでした。

追伸の追伸  勇み足が勇み足

いやあ、やはり、あれは親指ですね。三本の線で五本の足の指を表しています。手のことを考えると、...五本の指が三本の線で表されていました。だから、足も三本の線で、五本の指を表していることが推察できます。とんだ勇み足でした。雨の日は考えが深くなりがちです。

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