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渡邉達生の研究室便り

右手と左手

2012/03/08

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写真は、最近作った急須です。日ごろ、何気なく目にしている急須も、自分で作るとなると、それぞれのパーツがどのような配列でできているのかが、気になります。それで、本や実物を見て形をイメージし、作ることになります。

 ところが、できあがった作品を見ていて、それまで気づかなかったことに、はたと気づきました。今までに見てきた急須の全てが、右利きの人に作った道具でした。わたしも右利きで、このことに疑問を持ったこともありませんでした。しかし、左利きの人は疑問をもち、不自由な思いもしてきたことでしょう。

 わたしも、ためしに、左手でおはしを持って、食事をしてみました。悲しいことに、おはしをうまく使うことができませんでした。おはしで食事をすることは、苦しいことでした。そして、昔、子どもが、おはしをうまく使えないのを見て、注意をしたことがあったことを思い出しました。あのとき、おはしをつかえないことは苦しいことだという認識は、持ち合わせていませんでした。反省です。

 それから、左手でも食事をすることにしてみました。食事の途中で、おはしを持つ手を替えるのです。ここ、一週間で、だいぶ左手でおはしがつかえるようになり、けっこう、楽しいものだと思えるようになりました。そして、気づきました。子どもがおはしを使い始めたころ、自分も利き手とは違う手でおはしを使い、その不自由さを共に感じていれば、子どものたどたどしさを、ほほえましく見ることのできる心のゆとりをもつことができたのにと。またも反省です。

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 昨日、右手と左手のことで、さらに、発見がありました。右も左も同じようなかっこうをした文字ですが、書き始めは、右は縦画から書き始め、左は横画から書き始めます。それは、知ってはいたのですが、どうしてそうなっているのかはわかりませんでした。ところが、昨日、わかりました。

 古代中国の甲骨文字では、右は右手の形からでき、左は左手の形からできたということです。左右、それぞれの五本指のてのひらを、それぞれに、三本のフォークのような線で表しています。そして、書くときには、親指から小指に続く、わん曲した線を最初に書くという規則があって、それが今に継承されているとのこと(『甲骨文字の読み方』・落合淳思)でした。

 それにのっとると、右は縦画から書くことになり、左は横画から書くことになります。そうか、だから、右と、左では、書き順が違うことになるのですか...。う~ん、わかってしまうと、単純なことですが、わからないときには、まさに、雲をつかむようなことです。

 右は小学一年生で、左は小学二年生で習う漢字です。その筆順の違いについて、このような説明をしてあげることができませんでした。これも、反省です。

 ちなみに、後の時代、右手と左手に、それぞれ持っているものを付け加えて今の文字になったそうで、「口」は祭祀のときに使う「器」、「工」は大工道具の「ノミ」だということでした。3000年の昔の生活のようすがしのばれます。当時も、右利きで、社会が統一されていたのでしょう。

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