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渡邉達生の研究室便り

人は生きる

2012/04/18

東日本大震災にあわれた方々に、何か自分にできることをしたいと思い、何かのお役にたてばと、「心をひらく」というホームページを作成してきました。しかし、何だか地に足が着いていないような、自分が自分ではないような気がしてきて、現地に行ってボランティア活動をすることにしました。

 先週の金曜日の深夜。都内の池袋駅から、ある東日本大震災支援ボランティアツアーのバスに乗り込みました。40名の方々がいました。
 
 翌、土曜日の朝、宮城県山元町のボランティアセンターに着きました。そして、係りの方から、ある農家の方のところに案内されました。何もない広い土地でした。しかし、そこにはかつて家があり、畑があったのでした。雨が降っていましたが、40名でその畑を掘り起こしました。

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 畑は砂まじりのかたい大地になっていました。スコップで掘ると、地中から、瓦、コンクリートブロック、鉄パイプ、茶碗、木切れなどがたくさん出てきました。子ども用のカードが出てきたときには、しばらく、動けませんでした。カードの泥をぬぐうと、子どもの名前が書いてありました。この子はどのような状況に見舞われたのでしょうか。助かっていてほしい...。

 作業をしながら、農家の方が、ポツポツと話をしてくれました。

 家は津波で流され、何もなくなってしまったこと。
 避難をしたのに、様子を見に帰ったところを、津波に襲われた人たちのこと。
 この地域で、60名の方が亡くなられたこと。

 家がなくなった人たちは、家を建ててよいという場所がきまって指示があるまで、自分で家を建ててはいけないというきまりになったこと。
 しかし、家を建ててよい場所は、まだまだきまる段取りにはなっていないとのこと。
 一年が経過しても、そうなのでした。復興の見通しがないなかで、仮設住宅に住んでいるのです。

 さぞ、つらいことでしょう。しかし、合間に冗談を言って、みんなの気持ちをほぐしてくれたり、アスパラがよくできた、アスパラは強い、と話してくれたりして、嘆いてばかりでない、農家としての生き方を貫いていることを示してくれました。そして、今年はここで野菜をつくることができるからと、明るい表情で話してくれました。こちらが、元気をいただきました。

 夕方、バスに乗り込み、帰路につきました。夜の10時半、前日乗り込んだ池袋駅前のA銀行の前にバスが止まりました。小雨が降っていましたが、歩道を行く多くの人が、小雨の中を傘もささずに気持ちよさそうに歩いていました。土曜日です。歓迎会もあったのでしょう。かれらには、希望の笑みがありました。雨を風情として味わっています。

 しかし、銀行ビルのひさしの下には、段ボールにブルーシートをかけた手製の「すみか」がいくつも並んで、いずれも入り口はぴたっと閉じられていました。ここでは、雨をさえぎっています。中では、人が寝入っているのでしょう。この人たちも、今を生きています。

 仮設住宅に住み、あの畑で、これから野菜を育てる人たちも、また、今を生きています。

 金曜日の夜から、土曜日の夜にかけて、思えば一日のできごとでした。しかし、たくましく生きることの実際を知ることができた、貴重な体験となりました。

 
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