来週の火曜日(10月30日)秋田県北秋田市にある綴子小学校におじゃまして、6年生の子どもたちに道徳の授業をします。その準備をと思いつつ、思いをめぐらせていると、そういえば、どうして秋の文字には、火があるのか...と、気になりだしました。
『甲骨文字小字典』(落合淳思・筑摩書房)をひらいて調べたのですが、このことで、「秋」という文字は、複雑なコラボレーションの経緯をたどっていることがわかりました。
右の写真が、「秋」の文字の由来を調べ、その結果を描いたものです。
ススキの横にあって、月を見上げている文字が、「秋」という文字の、今につながる古代の文字です。
月の中には、この文字になったもとの文字をかきました。もともとの文字は、月の中の中央上にかいた文字、一文字であらわしていたということです。これは、虫をかたどったもの。そうか。秋には、虫がたくさん出ます。これが、「秋」でした。
左にあるのが、実った麦などの穀物の禾。そう、秋は穀物が実り収穫します。収穫した後、茎の部分は燃やします。茎には虫がついています。その虫を燃やすことで駆除になります。収穫した後のワラを焼いている光景を、今でもときどき見かけます。月の中の右にかいているのが、「火」をかたどった当時の文字です。
当初、虫だけであった文字が、しだいに、虫と実った穀物と火の三者を合わせて文字にするようになったそうです。だから、秋の文字には火が。
その後で、また、おもしろいことが起きました。虫をかたどっ秋の文字が、亀という文字に置き換えられていったということです。月の中の中央下にあるのが「カメ」を文字にしたもの。その上の「虫」と似ていますね。くわしく見ると、虫には触覚と羽根がありますが、だいたい同じ。カメの方が簡単かな。それででしょうか。虫の代わりにカメの方を三者の一員として迎え入れることになった、ということです。
それで、禾へんと、火と、亀が合わさって、ススキの横にある文字になりました。火は亀の下にあります。さらに時代が下がって、亀の文字がなくなり(どうも、秋とカメとは結びつかないですものね)、「秋」の文字になった...、ということらしいです。
いやあ、そうでしたか。もともとの「秋」の文字の初めは、虫の形からでした。しかし、いつしか、虫は亀に変えられ、その後、亀は消されました。後から加わった、穀物の禾とそれを燃やす火が、秋として、今の秋を知らせてくれています。
さて、秋たけなわの、秋田県に行きます。楽しみです。道徳内容は「敬けん」。資料名は「青の洞門」。