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渡邉達生の研究室便り

かちかち山の その後

2013/01/25

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雪がいつまでも残り、寒い日が続く。でも、アネモネは強い。雪にも、冬の寒さにも負けず、太陽の恵みを一心に受けようと花びらをひらいていた。まるで、何かを暗示するかのように。

先日、歯科医院へ定期健診に出かけた。待合室には絵本が一冊あった。背表紙には『かちかちやま したきりすずめ』の文字。うぬ、残酷物語のコラボ。なんで怖い話を...。
絵本は使いこまれていた。子どもたちは不安な心を、刺激的なお話で紛らわそうとしたのだろう。しかし、それにしてもうさぎさん、あのときはもっと何とかならなかったの...。

待合室にいる時間は5分ぐらいだった。が、あれ以来、うさぎへの思いが、ときおり頭をもたげる。そして、それにかぶさってくるのが、昨年からニュースでとりあげられている、学校で起きたいじめや体罰のこと。いじめや体罰が、学校で起きるのは痛ましい。しかし、学校ではなくても、人は人とのかかわりをうまくもてないと、家庭や職場、地域社会、友人関係でさえも、虐待、ドメスティックバイオレンス、パワハラ、セクハラ、いやがらせ等々を引き起こすことがある。そのとき、自分の正しさにこだわればこだわるほど深刻な状態になり、抜け出すことはできない。人を傷つけていることがわかっても、自分の痛みにはならない。一体どこに出口があるのだろう。

正義も、気がはやると過ぎる。過ぎるは過(あやま)ちである。
どうしたらよいか
―雪の中で咲いているアネモネの花を見ていて―
それを明らかにするために、あの「かちかち山」事件の後、悩んだうさぎが、アネモネに話を聞く、というのはどうだろうか。と考えた。


...冬のある日、通りがかりにアネモネの花を見たうさぎは、アネモネに言った。
きれいだね。寒いけど、がんばって生きているね。しあわせそうだね。わたしは、がんばってたぬきをこらしめたのに、あのときのことを思い出すと、落ち込んでしまう。良いことをしたのに心は暗いよ。いったい、これから、どうしたらいいの。教えて?

すると、アネモネは言った。
わたしは、あなたみたいな活躍はしていないけれど、自分のしていることでよかったら、話すよ。
冬は冷たい。雪の下にいると凍りつきそうになる。でも、冬の青空もけっこういいもんだよ。空気が澄んでいてすきとおっている。見ていると、ちょっと元気が出てくる。それで、自分のことをせっせとするよ。地道に土の中に根をはって、日差しを感じては花を開く。がんばると気持ちがいいね。さわやかな気持ちになる。青空が出ないときには、じっと、待っているよ。青空のことを思い出すと、さびしくはないよ。

それを聞いたうさぎには、思うところがあった。
そうか。厳しい冬の中でも、さわやかさをつくりだすことができるんだ。がんばることは、さわやかな気持ちになることだった。良くない人をこらしめよう、良くしようと思う...それは自分勝手と同じで、相手の心も、自分の心も、暗くしてしまうことだった。どうかしていたよ。これで、心機一転、一から出直せる。これからは、人も自分もさわやかな気持ちなれるように、がんばってみるよ。ありがとう。

うさぎは、足取りも軽く、歩き始めた。

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