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渡邉達生の研究室便り

上弦の月・下弦の月

2014/04/09

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のどかな昼下がり、ふと空を見上げると月が出ていました。お椀を下向きにふせたようなこの月は何の月でしょう?そう問われてとまどっていた時期がありました。
上弦の月か?下弦の月か?そのどちらかなのですが...。

半月は、弓を張っている形に似ているところから弓張り月や弦月と言われます。今日の、この月を弓の形に見立てると、弦は下です。

子どものとき、夜空に浮かぶ月を見て、これが上弦の月だよと教えられた月は、お椀の形をしていて、弦が上にありました。弦が上にあるよ、と言われた気がします。

それから数年たって見た理科の教科書に載っていた上弦の月は垂直に立っていていました。弦も立っていました。あれ...? でした。

それから、約10年後、吉田拓郎の「旅の宿」が流行っていた学生時代。歌詞の中に、風呂あがりに月を見て、...上弦の月だったっけ、久しぶりだね、月見るなんて...というところがあって、それを口ずさみながら、銭湯の帰りに見上げた月が、まさしく上弦の月。子どもの時に見た、お椀の形をしていて弦が上にありました。

そして、数年がたって...。夜、月を見たとき、半月でしたが、昼間見たときとは弦が逆になっているのです。上弦の月と下弦の月が一日のうちに入れ替わる? そんなことはないだろう、とは思ったのですが...。

さらに数年がたって...。月の上旬と、上弦の月とが関係あることを知りました。上弦の上は弦が上を向いているからではなく、太陰暦での月の上旬のことを意味しているというのです。満月になるまでの間になる弦月が上弦の月で、満月から新月になるまでの間になる弦月が下弦の月でした。なんだ、わかってしまえばそういうことなのです。

そして、月が、新月・上弦・満月・下弦という周期をきちんとくりかえすことから、期という文字が生まれたということも知りました。期には月が入っています。その月は、そういう意味だったのです。今、新学期です。その「期」を使っています。

他の人には常識のようなことでも、自分が知るまでに数十年かかることもあります。でも、だからこそ、知ったときはおもしろくて前に進む力が出ます。人生、急がなくてもいい、ということでしょう。

この日の月は、写真のように午後は弦が下にありましたが、夜になると垂直になり、やがて、上になりました。上弦の月でした。

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