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渡邉達生の研究室便り

草が生い茂る

2014/05/14

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若葉の季節...という歌がありました。若葉の間を通ってくる風は心地よいです。葉っぱから放出されるフィトンチッドの芳香が体をリユレッシュしてくれます。柏餅の、あの香りです。そして、草も元気になり、草刈りの季節となります。

 先日の五月の連休は郷里に帰り、草刈りをしてきました。以前は、この草刈りが、とても苦痛でした。草を刈らなければならない、という使命感にも似たものはあって、いったんは草を刈りはじめるのですが、はじめるととたんに、まだ終わらない、どのくらいで終わるのかと、終わらせるまでの時間をただただ終わらせることに懸命で、そのことが苦痛でした。

 ところが、その草刈りを、真正面にとらえている学生さんに出会いました。

◇ 私の家の前の田畑では、作物とサワガニと猪が共存している。夏の日の朝、柿の木の枝を引っ張っている五匹の猪の親子を見た時はびっくりしたが、親の後を付いて走っていくうり坊の後ろ姿はとても可愛かった。畑に作物を作ると猪が食べにやってくる。畑の横には、何より大切な稲がある。彼らに稲をやられないようにするため、畑に野菜を作るのを止めた。雨が降ると車に轢かれるほどいたサワガニも猪に食べられてしまうようで、全く見かけなくなった。都会の子ども達に比べれば、自然の中で暮らす私達は幸せだと言われるかもしれないが、都会で暮らしたことのある私にとっては、田舎は不便としか思えない。 
 雑草は刈っても刈っても生えてくるし、夏の気温と雨は、あっという間に雑草を成長させる。とにかく場所が広いため、二~三週間もすればまた同じ場所の草刈りをしなければならない。イタチごっこである。
 草刈りは、暑い時間を避けて週末の朝早くに行う。週末ぐらいはゆっくり朝寝をしたいのだが、炎天下での作業に比べれば、早起きした方がマシである。長年、祖母が毎日早朝に一人で刈っていたのだが、高齢になり滑ったり転んだりすると危険なので、父が手伝い、私が親元に帰った昨年からは、私と弟も加わり(大学生の弟はお駄賃をもらってバイト感覚でやっている)、草刈機は4台に増え、早朝から4台の草刈機がうなる我家の光景は、近所でも評判である。
 祖母は、私達の指揮官として今日はどの場所を刈るのか指示するだけでいいのだが、見ているのがいたたまれないのか、孫と一緒に作業するのが嬉しいのか一緒にやっている...危険のない平らな場所に限定しているが。
 この草刈は父にとっては親孝行、私達にとってはおばあちゃん孝行である。大変で嫌なこの作業が、近所の人が我が家を羨むような光景を作り出しているのだ。この自然との闘いは、私と弟を感心な孫にしてくれている。
 猪も、5年ほど前、近くに多目的公園施設が出来るまでは出現しなかった。公園の建設によって住処を奪われた猪が、我が家の山に住み着いたようだ。自然の中で生きることは動物も人間も大変だ。しかし、蕗のとうの天婦羅で春の訪れを知り、自分で掘って来た採りたての美味しい筍を食べたり、疲れて仕事から帰ってきた折、庭を飛び交う蛍を見て癒されたりする時は、自然の良さを知らされ、この不便な田舎に愛着を感じる。何の手入れもしていないのに、雑草にも負けず毎年生えている韮や三つ葉にも強さを感じる。中学校の教頭先生が大好きな言葉が「折れたまま咲いて見せたるゆりの花」だったが、私も雑草の強さとたくましさに習い、困難にへこたれない根性を持ちたい。
 明日は日曜日、我が家は、いつものように早朝から草刈りの予定である。梅雨明けした東海地方は暑くなりそうだが、祖母の嬉しそうな顔が一番の癒しである。秋が終わって草木が枯れるようになるまで我が家の戦争は続く。

勉強させられました。草刈りをする時間をも楽しむ心のゆとりをもつことが大事だと。
以来、草刈りに、使命感とも違う、平常心で臨むことができるようになりました。そこに草があり、伸びてきたから、草を刈る、という具合に。気負いがなくなると、心は楽になります。そして、草を見ていた古代人のことにも想像が行くようになります。

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「草」という漢字は、3000年前の古代中国の遺跡から発掘された、殷の時代の甲骨文字では、草の生えている姿を写したものでした。(右)
そして、その草の下に大地を表す一本線を加えて「生」という文字にしていたのです。(右下)

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 草のたくましい生命力をもって、「生きる」という状態を表したのでした。やがて、遣隋使や遣唐使によって「生」は日本にもたらされ、いきる、いかす、うまれる、うむ、はえる、はやす、という日本語の意味を表す文字となりました。

その「生」は、わたしの名前にもついています。何とかして自分を生きなければ...、草刈りをしながら、そう思ったのでした。

 写真は、草刈りの休憩時間にながめていた景色です。

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