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渡邉達生の研究室便り

心機一転

2014/10/01

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10月になりました。年度は後期に。新しい節となりました。この新しさをどのように過ごして行きましょうか。

先日、東京は渋谷のとあるお店で、クラス会が催されました。今から28年ほど昔、わたしが小学一年生を担任したときの子どもたちがクラス会を開いたのです。現在、三十代になっているかつての教え子たちが、いまだもって「先生」と呼んでくれました。そのときいただいた花束を、翌朝の朝日の中で写真に撮り、終生の記念にしたいと思いました。

クラス会では、りっぱに育っている彼らを見てうれしさを感じるとともに、自分の若かりし頃のことも、次から次へと思い出されて来ました。

 当時、わたしも三十代。しかも、そのとき、それまで勤めていた大分県の小学校から東京の小学校にかわったばかりで、さらには、身近に不祥事もあり、心の落ち着かない日々を過ごし、疲れていました。みな、わが身を守らんと口角泡を飛ばし、混ぜ返すのです。そのような中に、たった一人で身を置いたわたしには、拠るべきところもありませんでした。そのとき、この小学一年生の子どもたちと出会ったのでした。彼らの素直さに刺激を受けたわたしは、その日々を記録として残すことにしました。毎日、学級だよりを発行することにしたのです。しかも、手書きで。当時、ワープロもありました。しかし、自分の思いを伝えるには、「手書き」が最適であると、考えたのです。毎日、二時間ぐらいをかけ、日常の子どもたちの織り成す素直な姿を我が手で書き記し、印刷しては、配布しました。それによって、自分の中に、動じないものができていったような気がします。

あのときは助けられた。そう思いながら、昔日の思い出を語り合っていると、
「先生、おれたちがいますから大丈夫です。何かあったら言ってください。」
一年生のとき、はにかみ屋さんであったS君が、そう言ってくれたときには、不覚にも涙ぐんでしまいました。彼らのはつらつとした姿が、今の自分に喝を入れてくれるようでした。
 そうだよな。やってみるか。
わたしには、今、踏み出したいことがある。いや、自分を生きるにはしなければならないこと。しかし、それは周囲に波風を立てることになり、どうしたものかと迷っていた。が、君たちの、その若さを分けてもらって、自分を生きることにしよう。

 ありがとう。またまた、元気をもらうことになりました。

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