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渡邉達生の研究室便り

落語ボランティアをして

2014/11/19

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先日、ある老人ホームへ落語のボランテアに行きました。
今まで社会を支えてきた方々に、少しでもほほをゆるめ、笑っていただきたいと、人生の後輩からの笑いのプレゼント。にこやかな表情をしていただき、こちらも元気をいただきました。
わたしの高座名(芸名)は、「志久はっ空」。今までの人生であまりにも悩むことが多かったので、熟語の「四苦八苦」からいただきました。まあ、名前から、少々、ゆるんでいます。そこらあたりから、話し始めて、何のかんのと笑っていただきました。

落語を演じていて、思うことがあります。緊張感を解いてリラックスしている人は、なんと、おだやかな表情をしているのかと。
落語の登場人物には、間抜けな人が出てきます。普段の生活であれば、そのような間抜けな人は嘲笑の対象となります。みんなに笑われ、バカにされます。しかし、落語の世界では、間抜けな人は笑われても、主人公となっているのです。そして、観客の方は笑っても、嘲笑ではなく、温かみのある親近感を寄せ、安心して笑い、しかも、バカにした笑いではないのです。それどころか、笑うことによって、自分の心の底に巣食っている陰険さをはき出して、健康になっているかのようです。

人が集まる社会は、ストレスを生み出します。面白くないことも起きます。そこで起きるのが「いじめ」。学校や職場で人が起こすいじめも、だれもが、いじめはいけないことだとは認識しているはずですが、起こすのです。追い詰められると、人は、人をいじめています。生きものとしての本能がそうさせるのでしょう。
 その原因となるストレスを、笑いは、吹き払ってくれます。
 
だから、学校にも、落語が必要だと、かなり本気で思うようになりました。
明治時代の学校でつかわれた教科書「国語読本」には、落語の話があったのです。

その笑い話を三つ。

月と日と雷が同じ宿屋にとまりました。朝雷が目をさまして見ると、月と日が居りません。宿の者にきくと、「もうとうにお立ちになりました。」と言ひます。雷はかんしんして、「ああ、月日の立つのは早いものだ。自分は夕立にしよう。」

或山寺で、四人の憎が一室に閉じこもって、七日間の無言の行を始めた。小僧一人だけ自由に室内に出入させて、いろいろの用を足させた。
夜が更けるにつれて燈がだんだん暗くなり、今にも消えさうになった。末席に座ってゐた僧は、それが気になってしかたがない。うっかり口をきいてしまった。
「小僧、早く燈心をかきたててくれ。」
 隣に座ってゐた憎が之を聞いて、
「無言の行に口をきくといふ事があるか。」
 第二座の僧は、二人とも規則を破ったのが不快でたまらない。
「あなたがたはとんでもない人たちだ。」
 三人とも物を言ってしまったので、上座の老僧がもったいらしい顔をして、
「物を言はないのはわしばかりだ。」

おばあさんが鍋を買ひに行きました。五十銭のでは小さ過ぎるし、一圓のでは大き過ぎる、どちらにしようかと迷ひましたが「五十銭のでよかろう。」と小さい方を買って帰りました。
帰ってから、よく考へてみると、どうも小さ過ぎる。「大は小をかねるといふから、やっぱり大きい方にしよう。」と、もう一度金物屋へ行ました。小さい鍋を返し、大きい鍋を受取って、おばさんが、もう五十銭払はうとしますと、金物屋の主人、
「お金は、もういただかなくてもよいのです。」
と言ひました。
「どうしてですか。」
「さっき五十銭いただいて、今五十銭の鍋を返していただきました。両方で、ちゃうど一圓になります。」

どうでしょう。クスリときましたか。
みんなで、安心して笑うと、心に溜まっているヨゴレが洗い流されます。そして、みんなと笑い合うことで連帯感が生まれます。
学校や職場をそういうところにしたいです。今、何かと話題になっている道徳も、それでこそ生かされるものとなるでしょう。来年の新科目にはそのようなことをとりあげたい、と構想を抱いているところです。

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