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渡邉達生の研究室便り

アンパンマンとばいきんまん 新春の夜空に澄む

2015/01/03

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新しい年になりました。日付が変わって、早々にウォーキングをしました。見上げると頭上にはオリオン。そこから冬の大三角をさがし、そして、冬の六角形をさがしました。ありました。冬の六角形。別名、冬のダイヤモンド。不規則に散らばっている星々に規則性を発見できることで、心は一段と澄みわたります。

この、「澄む」の「澄」という文字は、サンズイに「登」です。サンズイは「川」という文字を変形させてできています。だから、川や水にかかわりがある文字に使われています。池、沖、清、波、浪、沈、深、泳、浅、洗...。で、「澄」は濁っている水のニゴリが沈んで、水がきれいになる状況を表しています。そこで疑問が...? 「澄む」は、サンズイと「登」です。ニゴリは下に沈んだのに「登」とは、これいかに? うん? うん、そうか。ニゴリが下に沈んで、そのことで、水が上に登って来たのが「澄む」。ニゴリが沈むと見るのではなく、きれいな水が登ると見る。それが、澄むということでしょう。思えば、澄みきった心であるというときは、そのようなときです。新年を迎えるに、ふさわしい心境です。

昨年の12月、熊本市のある小学校で、道徳の授業研究会が開催され、出席する機会がありました。そのときのテーマは、信頼・友情。で、そのことを考える手がかりにと、事前に、子どもたちに人気のあるアンパンマンについて、「アンパンマンとばいきんまんは友達か?」と、別の学校の先生にアンケートをとっていただいていました。そして、その結果を当日、研究会の席上、発表していただくことにしていました。
さて、その、子どもたちのアンケート結果をお聞きする時、その前に、参加していた先生方、確か、50名ほどだったと思いますが、その先生方に、「先生方はアンパンマンとばいきんまんは友達だと思いますか? どうでしょう?」と、お聞きしてみました。すると、多くの先生方が、友達ではない、ということでした。その次に、子どもたちのアンケート結果を発表していただきました。すると、2年生の子どもたちは、全員が「友達ではない」。4年生の子どもたちは、約80%の子どもたちが「友達だと思う」。6年生の子どもたちは、約70%の子どもたちが「友達だと思う」でした。

子どもたちは、友達の真理は何か、と課題をつきつけてくれました。ばいきんまんは、いたずらやいじわるをします。アンパンマンは、それをやめさせるのです。一見すると、両者は友達ではなく、悪い人とそれを取り締まる人、というかかわりのように思われます。先生方がそうでした。2年生の子どもたちもそうでした。ところが、4年生、6年生になると、そのような単純な線引きをすることはできないということを、自らの体験の中で紡ぎ出しているのです。4年生・6年生の担任の先生の報告によると、子どもたちは、アンパンマンとばいきんまんが友達であることの理由について、熱く語り合っていたそうです。友達とは、仲が良い人、助けてくれる人、という枠組みではくくることのできない、それ以上に価値のあるものがあることを、子どもたちは、体験の中でつかんでいる、と見ることができます。

道徳教育というと、規範意識を身に付けさせる、ということが目的のように思われている向きもあります。文部科学省の下村大臣がテレビのインタビューで、そのように言われていたことがありました。それはそれで、その通りです。友情でいえば、友達とは仲良く助け合う人、という規範意識をもって、それを順守していくことが大事であり、それによって、いじめも撲滅することができる、となるのです。それはそうなのですが、それは、通り一遍のことにしかすぎない、ということを、今回の、子どもたちは言っているように思うのです。いじわるやいたずらをしても、相手を非難して、対岸に追いやるのではなく、そのことはそのことで、それを大きく包み込んで、友達としてかかわる、それが友達だよ、と。子どもたちは、日々、学級でいい体験を積んでいます。いじわるをされてくやしい思いをした子どももいることでしょう。反対に、事の成り行きで、人に嫌な思いをさせてしまった子どももいることでしょう。しかし、そのことを超える何かが学級では生まれ、子どもたちはそのことで心を澄ませているのです。この、心の、自らの自浄作用に着目させることが大事なことです。

研究会が終わって、飛行場まで車で送っていただいている車中で、お世話をしていただいた教育委員会の先生がおっしゃっていました。そういえば、保育園や幼稚園の子どもたちはばいきんまんが大好きで、その子どもたちが小学校にあがると、全員、ばいきんまんを正義の対岸に押しやってしまっていたことを考えると、それは、学校側にも、考えなければならないことがあるのではないか...。その先生も、いい気づきをされていたと思いました。心を澄ませていました。

さて、その研究会で明らかにした信頼・友情の価値については、次回、報告します。

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