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渡邉達生の研究室便り

真実を知る①

2015/01/22

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昨日、秋学期のレポートの添削を終え、学生さんにお返しできました。ホッと、一息ついたところです。レポートとは、テーマにそって自分の心に浮かんだ言葉を文章にしたもの。
そのレポートを読んで、各人の意をくみ取り、さらなる高みへ導いていく言葉を文章にしたのが添削。

言葉を文章にするのは、心に浮かんだことをそのまま文章にすればいい...はずですが、これがなかなかに大変。自分の思う真実はどのような言葉で表現できるか...迷います。自分がしてみて、学生さんの苦労がよくわかります。

写真は、今年の初詣にでかけた神社のイチョウの木です。年月を経てできたと思われる隆々とした骨格に、思わず気おされ、写真におさめました。イチョウの木というと、葉っぱが青々と生い茂っている姿や、見事な紅葉の姿を思い浮かべますが、これも、イチョウの木です。そして、見ていると、飾り気をなくしたこの姿こそが真実の姿ではないかという気がしてきます。真実は、自分の中にそなわっているのです。ところが、その自分にある真実は、飾ると見えなくなってしまいます。

今週の、「明日の一歩」という授業では、「真実を知る」という、松下幸之助の言葉をもとにしました。松下氏は、自らの著書『道をひらく』の中で、次のようにいいます。
「人間は、ものの見方一つで、どんなことにも堪えることができる。...のみならず、いやなことでも明るくすることができる...そうとすれば、人生において、絶望することなど一つもないのではあるまいか。ただ、この、ものの見方を正しく持つためには、人間は真実を知らねばならないし、また真実を教えなければならない。つまり、ものごとの実相を知らねばならないのである。」

思えば、レポートを書く、添削をする、添削を読む、ということも、この「真実を知る」ということの一環です。自分が身に付けている「飾」を落とし、その飾の下にあるはずの、自分の真実を浮き彫りにする...「飾」は自分を守る「ヨロイ」ともなっていますから落とすのは大変です。しかし、それができることで身軽になり、いやなことも明るくすることができます。...そのことが、今回の、添削を通してわかったような気がしました。生きることは、そのようにして、自分を超えることでもあるのでしょう。

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