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渡邉達生の研究室便り

大分で、楽しい道徳①

2015/02/04

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わたしの郷里大分県には、宮崎県との県境に、「傾山(かたむきさん)1,605m」と「祖母山(そぼさん)1,756m」という山が、少し離れたところに連なっています。写真左が傾山、写真右が祖母山。どちらの山も人々に親しまれています。わたしは、どちらにも登山をしたことがありますが、どちらかというと、祖母山の方が人気を集めているようです。高くて容姿がスキッとしているからでしょう。でも、わたしは、ずんぐりとした傾山の方に愛着を感じていました。

この二つの山には、次のような民話が伝わっています。
昔のことです。二つの山は、仲が良かったのですが、あるとき、ふとしたことで、どちらが高いか言い争うようになりました。そして、とうとう決着をつけるべく、背比べをしようということになり、背比べをしたそうです。すると、傾山の方が少しだけ高いのでした。得意になった傾山は、祖母山に向かって、「どうだ、オレの方が高いだろう。」と威張りました。それにカチンと来た祖母山は「傾山」の頭を、「ドーン」と、蹴飛ばしました。実力行使です。すると、何と、傾山の頭は傾いてしまいました。そして、そのことで傾山は低くなりなりました。でも、傾山は、頭をもとに戻そうとはしませんでした。それどころか、傾いた自分の姿を堂々と人に見せ、言い争うこともしなくなったそうです。それからその山は、人々に傾山といわれて親しまれるようになりました。

これは、わたしが子どもの時に地域の方から聞いた話です。話してくれた方は楽しそうに、笑いながら話してくれましたが、わたしが、「祖母山はヒドイよ、傾山がかわいそうだ」、と言うと、「そうか」と、笑われてしまいました。

今考えると、この話は、笑うことに意味があったような気がします。笑えないと、気が済むまで永遠に蹴り合いを続ける、いわば過激思想にハマっていることになります。自分はヨイ、相手がワルイ、という思いにこだわるとき、心にユトリ、アソビはありません。次第に、相手をへこませることに快感を覚えるようにさえなります。このとき、傾山は、そうではありませんでした。蹴り返さず、しかも、頭をもとにもどさなかった。なぜか...。その深さに気づき、笑ってそうできることが、人生において大事なことだ。それが、民話の中に込められた先人の願いではないだろうか。...この頃は、そのような思いをもつようになりました。

その思いを、今度は、わたしが地域の子どもたちに伝えたい...そう思ってきましたが、その機会が訪れることになりました。

2月下旬、大分県の、その地域のある小学校で、楽しい道徳の授業をめざした、授業研修会が行われることになり、わたしも参加して、授業者の仲間入りをすることになりました。

この研修会で銘打っているのは、楽しいということ。だれが...? 子どもが? いや、子どもが楽しくなるには、まず、教師自身が楽しまなくてはならない...と。

その学校の校長先生のスマホを見せていただくと、かつて自分が行った授業に対しての、子どもたちの感想を載せた校長便りが入っていました。

<子どもの声>
・今日の道徳では、Smileでできました! 実は道徳はきらいだったけど...校長先生のおかげで道徳が少しのちょっと上ぐらい好きになりました。ありがとうございます。
・道徳は差別とかを中心にやってきたけど、今回はその逆の人の温かさを教えてもらって楽しかったです。
・今日の勉強はいつもの勉強に比べてとても楽しかったです。思いやり、親切にすることを忘れないようにすることにします。

そう、校長先生が、道徳の授業をしているのです。そして、子どもは楽しんでいました。

現在、全国の小学校・中学校でも道徳授業の研修会が行われています。ただ、そこで、教師の指導しようとする意欲と、子どもがそれをわがこととして受け入れようとする意欲との間に溝ができることが多いようです。先生方は子どものよい生活や生き方についてしんけんに指導をし、子どももそのようにしようと思います。ただ、授業ではそのような両者一致が見えるのですが、どうも、子どもの意欲はその時点で終了してしまうのです。そうですね。わかります。子どもが、学んだことを実際の生活に転じるには、日々、自分でエンジンをかけないといけないのですから。通り一遍のことを知っただけでは、長続きしません。

その校長先生は、それを打ち破るには、子どもも教師も学ぶことを楽しむ気持ちをもつことだといいます。そして、自ら実践しています。先生が授業をしているときに楽しい。子どもたちも楽しい。であれば、道徳的に生きることが楽しいこととして、子どもの心に宿るはずです。いいなあ。真剣に考え、揺れ動くことの楽しさに、授業の真実を見ています。

わたしも参加して、子どものときに聞いた民話を、そして、その民話に込められているであろう先人の願いを、今の子どもたちとともに発掘してみたいと思いました。校長先生は、その趣旨を理解してくださり、快く受け入れてくれました。感謝です。結果は、後日、お知らせします。

(上記の写真は、インターネット、ウィキペディア「傾山」「祖母山」から借用しました。)

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