八洲学園大学トップ > 八洲学園大学ブログ > 渡邉達生の研究室便り > はばたく
渡邉達生の研究室便り

はばたく

2015/06/29

habataku.jpg

ある民家の蔵の軒先の石垣の上に、一枚の大きな銅板のレリーフがありました。14羽の鳥が飛び立つ様を、20枚の銅板を合わせて作製したものです。

あった、あった。ここにあったか。再会に、感激ひとしお。

製作者は30年前の子どもたち。これは、小学校を卒業する14名の子どもたちの卒業製作でした。鳥が群れてはばたく姿に、慣れ親しんだ学校を級友と共に去って行く自らに重ね、銅板をコツコツと刻みました。見ていると、当時の子どもたちの息吹が伝わってきます。

その子どもたちの担任がわたしでした。今から30年前、郷里で小学校の教員をしていて卒業生を送り出したとき、卒業記念として、このレリーフを子どもたちと共に制作したのです。その後、このレリーフは、子どもたちの意向をくんで小学校の玄関に飾られました。

今から5年前、その小学校は人数の減少により閉校となりました。その後、校舎はそのまま残されるのだろうと漠然とした期待感はあったのですが、まもなく、校舎を取り壊して、敷地に太陽光の発電パネルを並べたという知らせを受けました。これも時代の流れかと、沈んだ気持ちになったものです。そのとき、あのレリーフのことが気になりはしましたが、門外漢は立ち入ることもできず、敢えて聞くこともしませんでした。

ところが、このように、民家の軒先で大事に残されていたのでした。そのことがわかったのは、ある偶然から。郷里に帰って久しぶりにある店に立ちよって話をしていると、ダダダ...と、トラクターの音。見ると、大きなトラクターが店の前を通り過ぎるところでした。それを見て、お店の人が、「あれ、Kちゃん」。え、あのKちゃん。思わず店を飛び出し、走っているトラクターをさえぎって、手をふるとトラクターは停止。ああ、そうです。そうです。そのトラクターを運転していたりっぱなおじさんは、30年前には愛らしくてしゃいなK君でした。K君が小学校を卒業するとき担任したのはわたしで、そのとき、あのレリーフを製作したのです。

K君の話によると、校舎が取り壊されるとき、その場に居合わせた後輩が、その製作年を見て、K君の卒業したときのものではないかと連絡をしてくれたとのこと。その知らせを聞いたK君は、そのレリーフを引き取り、自宅の蔵の前に飾ることにしたのでした。

そうでしたか。子どものときの思い出を大切にしてくれていたK君、ありがとう。もう、高校生と中学生のお父さん。そして、郷土を支えて大活躍とのこと。

あのときの子どもたちも、今や、全国各地で、よきおじさん・おばさんとして、日本の社会を支えていることでしょう。30年を経て、「はばたく」こと、現在進行形です。

人の生きることは、めいめいに自分の生きる大地に根差して生きることになります。しかし、それぞれにどこかで支えられ、つながっています。そして、そのことを大事にしたとき、不思議な力を感じることができます。はばたく力、おのれの中にあり。

「飛べるかどうかを疑った瞬間に永遠に飛べなくなってしまう」 byピーターパン
The moment you doubt whether you can fly, you cease forever to be able to do it.

わたしも、かつての子どもたちにあやかって、今尚、はばたき続けたい。

八洲学園大学 〒220-0021 神奈川県横浜市西区桜木町7丁目42番地

出願・資格取得について・入学前相談・教育訓練給付金等はこちら
 入学支援相談センター 045-410-0515/u-info@yashima.ac.jp

在学生・卒業生・教員免許状更新講習・就職関連はこちら
 学生支援センター 045-410-0515/u-info@yashima.ac.jp

広報・公開講座・教員への取材等はこちら
 総務課広報係 045-313-5454/u-yue@yashima.ac.jp

八洲学園大学パンフレット ※八洲学園大学の各種資料をダウンロード頂けます。

ご希望の資料はPDFでも閲覧可能です。
PDFファイルを閲覧するには、Adobe Acrobat Readerをインストールしてください。

八洲学園大学

学校法人八洲学園大学 入学支援相談センター

〒220-0021 神奈川県横浜市西区桜木町7丁目42番地
電話:045-410-0515(受付時間はこちら
お気軽にお電話ください

  • 資料請求
  • 出願受付
JIHEE