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渡邉達生の研究室便り

夕陽(せきよう)染むる

2015/12/22

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久しぶりに穏やかな夕陽を見ました。見ていると、心は、はるか昔に舞い戻ります。
高校の校歌に、「♪夕陽染むる大阿蘇の秘むるは久遠の炎にて...竹高健児意気高し」というくだりがありました。のんびりしていた中学時代と変わって、いろいろに鍛えられた高校生活でした。

その高校の同窓会名簿が近々更新されることになり、寄稿文の依頼が来ていたことを思い出し、感謝の思いをこめて、以下の文をしたため、送りました。

五十年前の光り          昭和43年3月卒業生

五十年以上前、理科棟の横に坂道があり、その斜面に白い花が咲いていた。物理の授業の始まる前、早く教室に行ったわたしは、席に座ると何気なくその花を見ていた。すると、物理担当の小代先生が教室に入って来た。先生はわたしのそばに来ると窓の外を見て、「あの白い花が卯の花。ほら、『夏は来ぬ』という歌の中にある...」と教えてくれた。わたしは、やけにうれしかった。そのうれしさは、半世紀を過ぎて、今も心に宿る。
先生は、あのときなぜ言葉をかけてくれたのだろうか。きっと、授業中、うかない顔をしている生徒がいたのを気にしていたに違いない。(そう、わたしは物理の時間が苦手だった。)その生徒に一言声をかけようと思ってくれたのだろう。
先生、ありがとうございました。まだ、自由落下の法則、覚えていますよ。たしか、二分の一・g・hの二乗をかけるんでしたね。

それから、あるクラスマッチのとき、ソフトボールで、男子は二チームが出ることになった。全員選手。運動が苦手なわたしはマイッタ。当然のことに、わたしは二軍で、ボールが一番飛んでこないライトを受けもつことに。
放課後、自主練習が行われた。すると、わたしのあまりの不出来を目にした、運動の得意なタニくんが、「今度の日曜日、学校においでよ、僕も来て教えてあげるから」と言ってくれた。
そして、タニくんは一軍のキヤッチャーだったけれど二軍にかわった。日曜日には、わたしにプライベートレッスンをしてくれた。おかげで、外野フライをキャッチできるようになった。
勝利にとらわれない人の大きさを見せてくれたタニくん。ありがとう。ご恩は、一生、覚えて行きます。卒業以来、お会いしていないけれど、どうぞお元気で。

高校での思い出が、今でも胸に光る。落ち込んだときにははげまされる。それをつくっていただいた皆様に感謝。ありがとうございました。竹高健児、いまだ意気高し。

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