「大学卒業:知識は最大の財産」
徳永さん
2014年春期に、正科生(学士取得編入学)として入学。本学卒業と同時に学芸員資格取得。
卒業後、科目等履修生として再入学し2019年秋期をもって終了。
写真はご家族での1枚。(写真向かって左が徳永さんです)
(掲載日:2020年4月26日)
◆徳永さん
大学卒業+学芸員資格取得をされた徳永さんにお話を伺いしました。
●入学前に不安だったことはありますか
私は2014年の春に本学に編入学しました。実はその前年2013年に、ステージ4bの重いがん宣告を受けていました。骨転移もあり、悪性度も高く進行性のものだったので、途中で命が尽きて卒業できないかもしれないという不安はありました。それから看護師免許取得から30年ぶりの学習でしたし、無謀にも博物館学芸員の資格取得まで目指していたので、不安は挙げればきりがありませんでした。しかし、頑張りたい、何とか勉強したいという希望の気持ちの方が上回っていましたし、支援センターのスタッフの方から「大丈夫!」という温かい後押しを受け、不安が吹き飛んだことを覚えています。
●入学の決め手になったことを教えてください
まずは通学しなくても、インターネットで受講できることです。体調的に通学は困難だったので、インターネット環境さえあれば受講できるシステムは大変魅力的でした。病気であっても、年齢を重ねていても、また場所を選ばずに勉強できることはとても有り難かったです。現に入院中も病院から受講できたので良かったです。また50歳過ぎの特典であるシルバー割引は、中年の強い味方でした。
●学習に対して、入学前の印象と入学後の印象は違いますか
インターネットでの授業は、先生や他の学生との交流があまりないと思っていました。しかし、ライブでの授業は先生に直接質問ができ、ディスカッション機能でみんなと意見交換をしながら進められることもできるので、心が通った授業だったので驚きでした。授業はオンデマンドで何度も確認して再生できたのも良かったです。テキスト課目も疑問に思うことがあれば、質問機能でいつでも質問ができたので、時間の縛りがなく良かったと思いました。通信制=孤独だと思っていたのがすっかり覆されました。
●学習計画はどのように立てましたか?
私は八洲に6年間在籍していました。最初の2年は編入学で、博物館学芸員の資格取得を目的としていたので、始めの1年は博物館関連の科目を実習以外全てとるようにしました。またいつ体調が悪くなるかわからなかったので、他の科目は取れるだけの単位(年間合計49単位)を取りました。そのお陰で、2年目に手術入院となっても焦ることなく学習ができました。卒業後は,他の大学に1年間編入学と平行して、科目履修生としてのちの4年を過ごしました。科目履修生としては、無理のないように楽しむつもりで、半年で1科目を履修するようにしていました。
●学習をする上で大変なことがあれば教えてください
博物館関連の科目は、自分の足で様々な博物館や美術館に足を運び、多くの書籍を読み、自分の考えでレポートをまとめることが大切でした。また、私は欲張って履修していたので、レポート提出が何本も重なり、計画的にこなす為に目標の日程を決め、常に進捗状況を確認しながら学習していました。中でも博物館資料保存論のレポートでは、細かい考察分析が必要でクリアするまでなかなか苦労しました。どの科目でも言えるのですが、うまく学習が進められなくても、必ず突破口はあるということです。自分を信じて諦めないこと、
「絶対できる、大丈夫!」
という気持ちが大切だと思いました。
●入学して良かったと感じたことがあれば教えてください
たくさんの知識が得られたこと、生きるための心の糧を備えられたこと、今まで見えなかったものが見えるようになったこと、精神的に強くなったことです。そして何よりも予後不良のがんだったのに、こうして7年も生きられたことです。そしてステキな先生方、学友、スタッフのみなさんとつながりができたことです。
●印象に残っている科目とエピソードを教えてください
どの科目も思い出深く、限定するのは難しいので、いくつか挙げてみたいと思います。博物館関連科目以外で受けて良かったのは、「文章表現」「論述力スキル、アカデミックライティング」でした。これらはレポートを書く時にとても役に立ちました。ロン毛の石田先生が懐かしいです。
(2020年6月3日 事務局より:現在石田先生は退職され「論述力スキル(アカデミックライティング)」は
鶴岡里美先生が担当しています)
自分の中の意識が変わって影響を受けたのが、越智先生の「社会人基礎力」「キャリアデザインⅠとⅡ」です。みんなでディスカッションし、和気あいあいでとても楽しい授業でした。レポートで苦しんで、心が折れそうになった時の支えになりました。
道徳や生きる力を学べたのは、渡邊先生の「逆境を生きる」「昔話と道徳」など多くの科目です。とても柔らかい優しい口調の渡邊先生は、本当に癒しの存在でした。
日本人の季節の感じ方、美しい日本語を学べたのは、中田先生の「俳句と俳文ⅠとⅡ」でした。おかげさまで今も趣味で俳句を続けています。
倫理的な学びで良かったのは川井先生の「ものの見方、考え方」「生命の倫理」でした。これは哲学や宗教を通して、人としての生き方を考える機会になりました。
実践的に役に立ったのは、大江先生のビジネススキルです。どの科目もすぐに生活の中で活かせたので良かったです。
大学生になって是非学んで欲しいのは、法学です。藤森先生の「法学概論」「日本国憲法と現代社会」は社会人の基礎だと思いました。
履修した科目、それぞれすべてに対して思いはあり、思い出はつきません。本当に楽しかったです。
●入学して良かったと感じたことがあれば教えてください
たくさんの知識が得られたこと、生きるための心の糧を備えられたこと、今まで見えなかったものが見えるようになったこと、精神的に強くなったことです。そして何よりも予後不良のがんだったのに、こうして7年も生きられたことです。そしてステキな先生方、学友、スタッフのみなさんとつながりができたことです。
●改めて大学生生活を振り返っての感想を聞かせてください
私にとっては、大学生生活は生きる希望そのものでした。2013年4月に余命半年か、と言われる厳しい病状でした。生き延びられた時に、自分の一番の希望であった「大学で勉強したい」を叶えたいと思い、本学に編入しました。
ステージの重いがんサバイバーの方たちは、様々な生き方を選択していきます。世界中旅行する人、美味しいものを食べ歩く人、趣味に没頭する人、ボランティア活動に励む人と色々です。その中で、私が選んだのは、知識欲を満たすことです。
「がん闘病で大変なのになぜ勉強するの?」
と聞かれることがよくありました。レポートに苦しんだり、授業を受けるのに時間調整をしたり、課題の為に本を読んだり、その一つ一つが心地よいストレスだったと思います。それは、私の生きる糧になり、どんな治療よりも効果的だった治療法になっていたのかもしれません。
それから2015年4月の熊本地震で被災した時は、本当に心が折れそうになりました。八洲を卒業し他の大学へ編入学、同時に八洲の科目履修生になったばかりでした。本もノートも全てのものが瓦礫の中に埋もれてしまい、生活ができるのか、勉強ができるのか絶望しました。何日も車中泊が続き、不便な生活を強いられました。そんな時、荒れ果てた部屋の中から奇跡的にノートパソコンと教科書が見つかったのです。嬉しかったです。
「諦めずに勉強しなさい」
と神さまから告げられたようでした。無線LANを使って、我が家の庭で受講したのが「日本国憲法と現代社会」でした。勉強できることがこんなに幸せなのかと心から思いました。
( 2020年6月3日 事務局より:推奨条件を満たさないと正しく受講できません)
私の好きなマハトマ・ガンディの言葉で
Live as if you were to die tomorrow. Learn as if you were to live forever.
- Mahatma Gandhi
明日死ぬかのように生きよ、永遠に生きるかのように学べ。
一日一日を大切に生き、後悔のないようにたくさん学ぶ。無駄なことは何もなくて、勝ちも負けも成功も失敗もありません。
Even if I knew that tomorrow the world would go to pieces, I would still plant my apple tree.
-Martin Luther
たとえ明日世界が滅亡しようとも、今日私はリンゴの木を植える。
マルティン・ルターの言葉にあるように、そんなことをしても意味がないだろうと思えることも希望を捨てないで行動していくことが大切だと思います。
知識は最大の財産です。その財産を私は八洲で得ることができました。
●これからの目標を教えてください
2014年から3年間で八洲を含め、2つの大学を卒業することができました。まだお腹一杯とまではいきませんが、十分納得できるだけの勉強はできました。これからは、がんで苦しんでいる人たちや若い人たちに命の大切さを伝える活動をしていきたいと思います。ステージ4のガンで7年も生きて来られたので、不安に思うガン患者の支えになれたらと思います。
それから、現在八洲学園大学国際高等学校に在籍している、息子の蝶の研究活動の助手として彼のサポートをしていきたいと思います。キアゲハという蝶の研究をしています。全国的に減少傾向にあるこの蝶を保護するため、緑化活動を広く行っています。これは環境問題や生命の尊厳など、人間にも深く関わる分野の問題でもあるのでやりがいがあります。2020年はCOVID-19の影響で活動は縮小されますが、できることを少しずつやっていこうと思います。あとはずっと夢に思っていた、俳句の本を出したいと思っています。
●これから入学する検討者へメッセージをお願いいたします
2020年はCOVID-19で世界中が大変な状況になっています。戦争よりも深刻な状況です。こんな時に何ができるの?と思うかもしれません。こんな時だからこそできることがあります。冷静に現状を見極め、正しい道を歩んでいくことが大切です。だから知識を積んで、どんな状況でも対応出来る人になりましょう。不安な人に安堵の明かりを灯してあげましょう。
何も不安や心配に思うことはありません。病気や障害、年齢、仕事、妨げになるものは何もありません。どこにいても、どんな状況でも八洲なら勉強が続けられます。些細なことでも真剣に考えて下さる先生がたくさんいます。サポートして下さるスタッフの皆さんがいます。一緒に学び支え合う学友がいます。通信制でも孤独ではありません。大丈夫です。こんな私でも卒業できたのですから。心が折れそうになっても、受け止めてくれる人が八洲にはいます。ほんの少しの勇気と希望があれば、それで十分です。迷っていないで、アクションを起さなくては何も始まりません。温かい故郷のようなアットホームな大学、それが八洲学園大学です。いつでも八洲があなたを受け止めてくれます。あなたが自分の手で扉を開いて下さい。弱い自分もがいるでしょう。でも強い自分の存在を信じて、諦めない心が一番大切です。COVID-19に負けないで学びを始めましょう。
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