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「学芸員:人生における活動の幅が広がる」
花崎さん
花崎さん

2019年秋期に学芸員資格取得を目指し、科目等履修生として入学。仕事と家庭と資格勉強を両立しながら、最短の1年間で資格取得。現在は、会社の中でアート部を立ち上げ、運営するなど多方面に活躍中。

※写真は、マルセル・デュシャンを意識したポートレート。学芸員資格取得後はより強くアートではないものとは何かを問いかけながら日常を過ごしている。

(掲載日:2025年4月7日)


花崎さん
資格取得者の花崎徹治さんへお話を伺いしました。

●入学の決め手になったことを教えてください
 【最短1年】で学芸員取得。八洲学園大学のこのメッセージが入学の決め手でした。
入学した時の私は39歳の会社員で、3人の子どもの父親でもあります。会社員としての仕事はアートと関連がなく、高校生のころ「理系」の道を選択してから、美術館に行くことや美術史を紐解くことは、学校や社会、その環境とは結びつかず、個人の趣味に閉じてしまっておりました。何かをなすためには、何者かにならないといけないのではないか?と、美術の教育を本格的に学ぶため、美術系修士を目指したい気持ちは残しつつも、子どもにかけるべきお金や業務と家庭とそれ以外の限られた時間を自分に投資してよいのか悩んでいました。そんな中、学芸員資格は文部科学省が所管する国家資格です。そんな資格が【最短1年】で、1度も通学せず学芸員資格が取得できる。しかも、これが2019年のことで、コロナ禍で社会がオンライン化する前の制度でした。

また、厚労省が働く人の学習応援のために「教育訓練給付制度」というものを出していて、学芸員取得にかかったお金の20%を負担してくれる制度がある。2019年時点で、厚労省の制度で通信教育で学芸員資格が取得できる学校は2つ。ひとつは京都にある美術大学で、もう一つが八洲学園大学。
さらに八洲学園大学は偶然にも私の勤務するオフィスから徒歩10分ほどの距離に校舎があったこと、これらのタイミングや偶然により、私が八洲学園大学に入学する決め手になりました。


●当時の学修を振り返って良かったこと・楽しかったことがあれば教えてください
通信教育のため、校舎に行く必要は本当はなかったのですが、モチベーションを保つために業務後に週に二回博物館経営論のため通学させて頂き、秋吉正博先生の講義に参加しました。年末年始は子供を冬季講習に送ったあと、喫茶店ルノアールに篭りレポートを書く。子供の寝かしつけの傍ら、課題レポートを書く深夜。家族に迷惑をかけつつ週末を潰しての試験。などと仕事と家庭と資格勉強を両立させるのはやはり大変であるのですが、年を経ると集中して学ぶという機会は久しくなかったため、何かに没頭できるという機会を与えてくださったことはよかったです。

2019年11月から4か月ほどで、課題レポートと8科目の試験を終え、無事に単位が取れて、ひと段落。本当に【最短1年】どころか半年ほどで資格が取得できそう。残す必修科目は、初夏までに美術館で実習するのみ!と思った矢先の2020年4月、新型コロナが猛威を振るいました。八洲学園大学は元々通信教育だったので、先見があったのだと思います。しかし「博物館実習」という科目は、美術館に受け入れていただかなくてはならない。そのころ美術館は閉館が続く中、自分を受け入れてくれる美術館があり、美術館側も慣れないオンラインでの実習となりましたが、貴重な経験となり楽しかったです。

●印象に残った科目とエピソードを教えてください
アート大好きな自分なら余裕かと思いきや、学芸員とは美術史やアート作品のことを学ぶだけではなく、植物園も水族館も博物館も学芸員の範疇にあります。考古学の資料展示に関して2000字で論考する「博物館展示論」や、温度と湿度と太陽の位置から最適な保存場所を答える「博物館資料保存論」とか、作りたいと思う美術コンテンツについて4000字とか「博物館情報・メディア論」など、元々私が想像していた学問とは違う地に足のついたお題に対し、文字を絞り出す日々だったすべての科目は印象に残っています。
印象に残っているエピソードといえば、やはりコロナウィルスが猛威をふるっている時代と並行して資格取得に励んでいたことです。2019年11月の学習開始から、コロナ禍を経て学芸員資格証明書が到着したのは手元に届くまで一年半。八洲学園大学の水戸部優子学長のお名前の入った「紙の」証明書が届いた時の手触り感は、通信教育や緊急事態宣言中のデジタル中心の社会には得難かった人やモノとのコミュニケーションを感じ嬉しく思いました。

※写真は学芸員資格勉強中に参加した横浜トリエンナーレのボランティア。2024年には横浜美術館で参加アーティスト、サンドラ・ムジンガの作品制作のお手伝いも。学芸員資格の学習をする上でアーティストとお話しするための語彙も増え、機会も増えました。


●現在のお仕事(活動等含む)について教えてください
私はアート関連の仕事をしているわけではないのですが、日本の美術教育において、「理系」を選択してしまうと音楽も、アートも、文化全般に触れる機会が少なくなります。その結果、「大人になってから一度も美術館に足を運んでいない」という方が多いように感じています。社会を変えるには外側からだけではなく、内側からの変化する力が必要だと考えております。そういった方は本業のアーティストやアート関係者、学芸員を特別視し、距離を感じてしまうかも知れません。しかし、同じ仕事をする同僚が学芸員資格を持ち、アートについて解説し、美術展をおすすめすることによって「何十年ぶりに美術館に行った」という「人生の節目」となるようなキッカケを作っていけたらよいと思い活動しております。


※学芸員資格取得後は積極的な社会とアートを繋ぐ活動を企画して推進。写真は、小田原文化財団 江之浦測候所で貸し切りイベント企画の中で、参加者向けにガイドをしている一枚。


●資格取得前と後でお仕事(仕事内容や取り組む姿勢等)に変化があったことがあれば教えてください
学芸員資格を取得した結果、会社員としてのスキルとは全く異なる領域に専門性を自覚することができました。その結果、複数の専門性を持つことが意識でき、物事への向き合い方や複数の角度から考える思考パターンなどといった「幅」のようなものを持てるようになりました。それぞれの専門性を越境することで、ユニークな視点やコンセプトを考える幅ができるのです。


●今のお仕事に「学芸員資格」の学びが活きていると感じることがあれば、具体的に教えてください
学芸員資格取得後に会社の中でアート部を立ち上げ、運営しています。この活動は新聞に取材を頂いたり、ラジオに出演させて頂いたりと、会社員の専門性のキャリアパスでは経験できないご縁に恵まれました。またアートに関する講演のお声がけを頂いたり、会報誌などの媒体にアートに関するエッセーを寄稿する機会にも恵まれています。あくまでアートを愛する者としてのパーソナルな領域ではあるのですが「学芸員資格」の学びの結果、人生に置ける活動の幅が広がりました。


●これから入学する検討者へメッセージをお願いいたします
学芸員資格を取得したとしても、美術館で「学芸員」という職種につくことは、この日本では弁護士よりも医者になるよりも大変と言われています。それは美術館という施設は今後急激に増えることはなく、そこで働く学芸員たちは長期働けるため流動性も少ないためです。
しかし、学芸員は資格ではなく「生涯学習」です。私たちは常に学ぶ必要がある、現状維持をしたいと思っても、テクノロジーや知識といった環境は常に変化していくので、現状を維持するためにも学ばなければなりません。八洲学園大学で資格を取得する過程で得られる知識は、正式に学芸員として美術館で働くことがなくとも、人生においてとても貴重な時間となると考えます。

昨今、「キュレーション」や「キュレーター」という単語をメディアや書籍で目にする機会が増えたように感じます。学芸員という職業を英語で紹介すると「キュレーター」です。資格が取れた暁には、堂々と名刺の肩書に「キュレーター」を名乗ってよいのではないでしょうか。さらに、美術館で働くことが難しくても、あなたが美術館資格を持てば、博物館法上は、会社の中にも、自宅でも「美術館」の立ち上げができるはずです。





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